【特集】59年の歴史に幕… 常連客に愛された夫婦で営む漬物店 最後の営業日

【動画】「まちの漬物店」夫婦二人三脚で歩んだ59年 最後の日

法律の改正もあり、日本の食文化「手作りの漬物」が大きく変わろうとしています。長年、夫婦で地域に愛される漬物を作ってきた小さなお店の最後の日を取材しました。

踏切を渡ってすぐの場所にある、みどりのテントが目印の小さなお店が、山田漬物店です。この場所で59年間営業してきた山田英義さんと妻の美智子さんは、5月末で店をたたむことを決めました。

閉店を惜しむ常連客が押し寄せ、自慢の漬物は売り切れです。

■山田漬物店 山田英義さん

「来年90歳になる。やめようかと。」

16歳から広島市内の漬物店で勤め始めた英義さん。結婚後、美智子さんと手作りの味を届けてきました。日本三大漬菜に数えられる 『広島菜漬け』を作ってきました。

■山田漬物店 山田英義さん

「1週間に1回2トンずつ(広島菜が)来よった。あのころはよく売れていた。」

店を閉める理由は、6月から食品衛生法の改正により、多額の設備投資が必要になるからです。

Q.設備投資は無理ですか?

■山田漬物店 山田英義さん

「あと何年できると思う?銭かけるわけにはいかない。」

■山田漬物店 山田美智子さん

「まだ働きたい。90まで。」

常連客からも惜しむ声が聞かれます。

■常連客は…

「おいしかったです。それをお手本に、うちの旦那が白菜の漬物にハマって、作り始めました。」

午前4時、最後の営業日。向かった広島市中央卸売市場で、取引先に最後の挨拶回りです。

■山田漬物店 山田美智子さん

「最後のような気がしない。全然、普通どおり。明日から何するのって。寝て暮らすって言うたら大笑い。」

店内に漬物はありませんが、次々と常連客が訪れ、感謝の言葉を伝えていました。

■常連客は…

「母親が作ったぬか漬けの味でした。でも、母を2年前に亡くしたので、母だと思いながらいつも来ていて…」

■山田漬物店 山田英義さん

「いつか辞めにゃいけんのじゃけえ。早いか遅いかだけじゃった。」

■山田漬物店 山田美智子さん

「潮時いうことです。年は年だから…」

■山田漬物店 山田英義さん

「ええ潮時じゃったのぉ。」

夫婦が営む小さな漬物店の最後の日は、常連客への感謝の日となりました。

【2024年6月6日放送】

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