「子供と握手させたくなかった」生徒の父親が教育長を無理やり押しのける。人種差別的な動機を疑う声も

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アメリカ・ウィスコンシン州の高校で5月に行われた卒業式で、卒業生の父親が教育長を壇上から無理やり押しのける動画が拡散され、物議を醸している。父親は「自分の子どもと握手するのを阻止したかった」と警察に説明しているという。父親は白人、教育長は黒人だった。

地元テレビ局WMTVインディペンドなど大手メディアも報じている。

インディペンデントによると、問題は5月31日に開催されたバラブー高校の卒業式で起きた。卒業生が順番に壇上で卒業証書を受け取り、学校職員たちが一人一人と握手をし、門出を祝福しているところだった。

平和に進行していたが、突然、白い半袖ポロシャツにキャップをかぶった人物が壇上に上がったかと思うと、教育長めがけて足早に歩み寄り、その勢いのまま教育長を壇上から押しやった。壇上にいたこの人物の子どもは異変に気づくと顔から一気に笑顔が消えた。唖然としたのもほんの一瞬で、すぐに父親の行動に恥ずかしさを感じたような表情を浮かべ、ひどくがっかりした顔つきに変わった。

卒業生の父親が排除のターゲットにしたのは、レイニー・ブリッグズ教育長。WMTVが入手した警察の報告書によると、問題を起こした父親は警察官に「教育長とは過去に問題があり、嫌悪を感じていた。自分の子どもと握手して満足するのを阻止したかった」と動機について話している。

警察官が反省しているか尋ねたところ、子どもには悪かったと述べたという。警察は計画的な行為だったと結論づけている。

警察はブリッグズ教育長からも話を聞いている。教育長は、問題発生から数日経つまで父親について何者か知らなかったと答えている。過去にこの人物の子どもが学校で規律指導を受けたことがあったが、教育長がこの親子に直接かかわることはなかったという。

父親は秩序を乱した罪に問われており、教育長は接近禁止命令を申請している。

SNS上では今回の問題について人種差別的な動機があるとの意見が出ているが、警察などによって立証はされていない。インディペンデントによると、同校は2018年にも在校生と卒業生の一部がナチス式の敬礼をした写真が拡散したとして全国ニュースになっていた。

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