元日本代表DF「大きな変化、違いが出る」 広島は連戦をどう臨むのか?…鍵を握るメンタリティー

広島の佐々木翔【写真:徳原隆元】

ルヴァンカップ第1戦は広島がFC東京に2-1で先勝

サンフレッチェ広島は6月9日にルヴァンカップのプレーオフラウンド第2戦で、FC東京と対戦する。アウェーでの初戦を2-1で勝利した広島は、優位な状況でエディオンピースウイング広島での第2戦を迎えるが、元日本代表DF佐々木翔は「別にアウェーゴールがあるわけでもなくて、前半が終了しただけ」と、警戒心を緩めない。

対戦するFC東京は日本代表にDF長友佑都、U-23日本代表にGK野澤大志ブランドン、DFバングーナガンデ佳史扶、MF松木玖生、FW荒木遼太郎と各ポジションの主力を欠いていた。それでも佐々木は「(FC東京の個の力を)感じた部分もありました」と認める一方で、「それに対して自分たちが対応できたところもありますし、そこは次に向けて自信になると思います」と、手ごたえを口にした。

5日の第1戦のハーフタイムではロッカールーム内で戦術的な確認もしたというが、「第2戦もあるので喋りたくないです」と具体的な内容について佐々木は言葉を濁した。PKで失点した場面、FWディエゴ・オリヴェイラとMF仲川輝人の連係から崩されたシーンもあったが、佐々木は相手への対応よりも、自分たちの姿勢をどうするかがカギになると語った。

「ああいう形で失点しましたけど、それ以外に何がどうだったかというところは悲観する内容でもない。特に感じるのは、先に2点を取ってから、保守的になりすぎた。しっかり守れば勝てるという感じはありますけど、前半のうちから少しそういう形に自分たちがメンタル的にもなりすぎた。一見、(第1戦を2-1で終えて)有利に見えるかもしれませんが、しっかりと試合の入りから、自分たちのサッカーをして、もっと頭を動かしながらサッカーを進めていくことが重要だと今日やって感じました」

初戦に敗れたチームは「点を取って勝ちに行く」とマインドを一つにしやすい一方で、初戦をリードして終えたチームは「このリードを守る」「もっと点を取りに行く」とチームの方向性が崩れる可能性がある。「どの試合も重要」という佐々木だが、特に勝利して迎える同じ相手との連戦はメンタルの持ち方が、極めて重要になると強調する。

「受け身のメンタリティーに自分たちがスタートから持っていくのか。そうじゃなくて、1点有利なんだから自信を持って自分たちのサッカーをしていくと心に持ちながら試合をするのかで、大きな変化、違いが出ると思います。今日は前半の途中から、そういう(受け身の)シーンが多かったかもしれませんが、そこを自分たちで最初からそうならないように、メンタルを準備していくところは大事かなと思います。そういう(受け身の)メンタリティーになりかねないとは思いますが、それが決して悪いわけじゃない。ただ、スタートからそれでいくのは、間違いなく違うと思います。終盤はしっかりと勝っているなら、そのまま終われればいいですし、まずは変わらずに自分たちのサッカーを進められたらいいと思います」

この試合の2日後には、広島の新スタジアムで初の代表戦も開催される。広島が勝利して次のラウンドへの進出を決めて、かつての指揮官である森保一監督の凱旋試合につなげられれば、広島でのサッカーは盛り上がるかと思われたが、佐々木は「あまり関係ない」と笑った。

「僕らは僕らのことをやるべきです。代表の試合は代表の試合で人が集まりますしね。もちろん僕らを代表して(川村)拓夢と(大迫)敬介がいっていますが、僕らには関係ない。まず自分たちのところで結果を出して、それが広島のためになる。そのために僕らも体を張っています。結果を残したいのは間違いないし、代表の試合はまた皆さんに代表の試合として楽しんでいただければと思います」と、周りのことは視界に入れずに、クラブでのプレーに集中することを誓った。(河合 拓 / Taku Kawai)

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