落語に情熱海越えて 米男性、集大成の高座 茨城・水戸、15日 月末帰国 英語で公演、稽古励む

公演に向けて稽古を重ねるアレックス・レイさん(右)=水戸市備前町

茨城県内で英語教師を務めた米国出身のアレックス・レイさん(30)が、同県水戸市で15日に開かれる英語落語公演に向けて稽古を重ねている。大学時代に落語に出合い、2020年の来日後は英語落語協会(東京都)にも入会。間もなく帰国予定で、集大成となる今公演を成功させようと熱のこもった練習を続けている。

レイさんは米国南東部のサウスカロライナ州出身。子どもの頃から日本アニメが好きで、大学時代に見た落語をテーマにした作品に新鮮味を覚えたという。訪日後は同県河内町などの学校で教員として働きながら東京の英語落語教室へ通い、国内外で公演する英語落語協会にも入会した。

高座名は、教室名とレイさんの姓にちなんだ「鹿鳴家(かなりや)光」。15日の公演では古典落語の「転失気(てんしき)」を披露する予定。転失気をおならと知らない和尚が知ったかぶりをして年少の僧にだまされる作品で、「ばかばかしい話なので、みんなに笑ってもらいたい」と語る。

初めて高座に上がったのは昨年12月。緊張のためか、外国人の観客をあまり笑わせられず、落語の難しさや奥深さを実感した。それでも「彼らが落語を見るのは初めてかもしれない。ならば面白い落語を見せなければ」とさらに稽古に打ち込んできた。

現在は自宅や公演会場の水戸市国際交流センター(同市備前町)で稽古に打ち込む日々を送る。レイさんの表情豊かな落語に、同門の武島智美さん(50)は「実体験で面白いと思ったことを所作に取り入れるのが見事」と高く評価。先輩の谷口奈緒子さん(53)も「彼の英語は、教師をしていただけあって聞きやすい」とエールを送る。

茨城県で4年間を過ごしたレイさんは今月末に帰国予定。念願だったという茨城県での公演が集大成となる。「次はいつ日本で演じられるか分からないが、手伝ってくれた先輩たちに感謝している。本番で笑ってもらえたらうれしい。いつか米国でも演じてみたい」と意気込んでいる。

公演は15日午後2時半から同センター。受け付け開始は同2時。入場無料。同門の日本人3人も出演する。

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