賞味期限は15分 濃厚バナナジュース飲んで 店内で熟成、SNSで発信し話題に 小野・山本くだもの店

バナナジュースを持つ山本喜隆さん(左)と唯加さん=小野市上新町

 暑さが増す季節、よく冷えた濃厚バナナジュースはいかが-。兵庫県小野市上新町、山本くだもの店の看板商品が人気だ。卸売市場で仕入れたバナナを、甘みが増すまで店内で熟成。冷凍保存し、注文を受けてからミキサーで牛乳とかき混ぜて出す。シェークのような仕上がりは、飲み応えというより食べ応え十分。「冷たいうちに味わってほしい」との気持ちを込めて、賞味期限は「15分」とした。交流サイト(SNS)で話題になり、愛好者が増えている。(坂本 勝)

 店は1971年の創業。かつては野菜やシャケなども販売していたという。

 約10平方メートルの広さから始めた昔ながらの店舗。若者の果物離れが進む中、山本喜隆(よしたか)店長(60)は先行きに危機感を募らせていた。そんな中、次女で店の「広報部長」に指名された唯加(ゆいか)さん(23)から「SNSで発信を」と勧められ、2019年3月、店のインスタグラムを始めた。

 しかし、20年からの新型コロナウイルス禍で売り上げが減少。「何かせんといかん」と家族で話し合って、余ったバナナを冷凍し、自家用に作っていたジュースを販売することにした。

 22年7月に販売開始。「インスタ映えするように」と、店の奥にバナナジュースのコーナー「YY BANANA」を設けた。受け渡し窓の上にひさしを作り、バナナをイメージした黄色のロゴで統一感を出した。店頭にはバナナジュースの黄色ののぼりがはためく。

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 ミキサーに入れるのはバナナと、同市浄谷町に牧場がある共進牛乳だけ。砂糖は使わない。店内には「バナナ熟成中」と書いた紙が貼られ、バナナの入荷日や熟成日数が分かる。ジュース用は3、4日目で黒い斑点が出る頃が最適だという。

 四季折々の果物を取り扱う同店。秋には旬の果実を使うシフォンケーキ、冬には焼き芋も登場する。SNSは専門店ならではの工夫やこだわりを伝える好機になり、来店したユーチューバーが発信すると、客がどっと来たこともあった。

 週3日、夜明け前から果物を仕入れに行く山本さんは「SNSを始めて客層が若くなった。工夫すればまだ店をやっていける」と手応えを語る。

 1杯380円。追加料金で旬の果物のトッピングもできる。午前9時~午後6時。水曜休み。最新情報はインスタグラム(@shanbenkudamonodian)で。同店TEL0794.62.5856

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