テレビドラマや映画、舞台にCMと活躍し、悪役から癒し系まで幅広い役を演じ分ける西丸優子(@yukonishimaru)さん。
令和6年2月、子宮体がんの治療中であることを公表し、Instagramで抗がん剤治療の経過、副作用、その日の自身の心境などを発信しています。
自らを『鬼メンタル』と語る西丸さんの発信は本当にポジティブなものが多く、病気について不安を抱える多くの人を勇気づけています。
この記事では、西丸さんが自分の身体に異変を感じ始めてから、完治に向けて治療中の現在までの思いや、今後目指している未来について聞きました。
「そっか、がんか」診断を受けたときは無だった
西丸さんが自分の身体の異変を感じ始めたのは令和5年の9月頃でした。
もともと生理不順だったこともあり、多少の不正出血は目をつむっていたといいます。
しかし、1ヶ月もの間出血が止まらず「これはさすがにおかしいな」と感じた西丸さんは、友人の勧めに背中を押されて検診に行きました。
そこで最初に疑われた病気は「子宮内膜異型増殖症」でした。
追加の検査や子宮内膜掻爬手術をした結果、子宮体がんのステージ1a期であると診断。治療のため、子宮と卵巣を全摘出することになりました。
このときすでにかなりの量の出血があり、1度にカップ1杯ほどの量を出血することもありました。仕事では貧血になりながら撮影し、カットがかかる度にトイレに駆け込んでいたという西丸さん。
医師から「子宮体がんです」と聞かされたときには、すでに覚悟はできており、驚きも悲しみも特にない無の状態だったといいます。
ただ、周りに心配をかけてしまうこと、仕事ができなくなること、愛犬を守らなければと、自分のことより周りの人たちのことが気になったと話してくれました。
子宮・卵巣全摘出手術と抗がん剤治療
手術は成功し、がん自体はキレイに取り除くことができました。
しかし病理検査の結果、脈管侵襲がみられたため中リスクと判定。6クールにわたって抗がん剤治療をすることになりました。
治療中、一番辛いと感じたことは?と尋ねると「手術中は自分は麻酔で眠っているだけですが、その間付き添ってくれていた友人や家族に心配をかけたのが申し訳なかった」と、ここでも周りの人たちのことを1番に気にかける西丸さん。
一般的にはかなりつらいイメージのある抗がん剤の副作用も痛みに対しては耐えられたものの、身体にできた発疹の痒みと、もともとたくさんあったはずのまつ毛が減ってしまったことは悲しく感じたのだそうです。(眉毛に関しては、事前にしていたアートメイクに救われたと話します)
スーパーポジティブなSNS発信
西丸さんの話す言葉には、聞いている相手さえもポジティブにしてくれるパワーを感じます。
「がんと聞くと、どうしてもネガティブに捉えてしまいますが、今まで別世界のことだと思っていたがんになり、経験してみなければわからなかった身体のすごさを感じたことや、家族や友人のことを考える時間がぐっと増えたことがありがたい」と話す西丸さん。
「この闘病経験をも財産にして、これからも色々な役を演じたい」と俳優としてもしっかり前を向いていました。
子宮体がんであることを公表したきっかけ
西丸さんは令和6年2月に自身の病気について公表し、そこから事務所の許可を取ってInstagramで病気の経過、治療の様子を発信しています。
このように広く子宮体がんについて発信しようと思ったのには理由がありました。
西丸さんが医師から「子宮体がん」という病名を聞いたとき、その病名にピンと来ませんでした。ネットで子宮体がんを経験した方の投稿を探し、少しずつ病気への理解を深めていったそうです。
一般的な子宮系のがんというと、最近ではCMにもなっている「子宮頸がん」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
子宮体がんは子宮頸がんと場所が違うだけでなく、発症する原因もまったく別のがんなのです。
自身で調べていくうちに、子宮体がんの情報が他のがんに比べて圧倒的に少ないと感じた西丸さん。自分自身の経験を発信することで、これから先誰かの役に立てばと話します。
病気について発信する上で、西丸さんが大切にしていることがあります。それは、毎日の記録として自分の変化を途切れず発信すること。
抗がん剤治療が始まると、副作用によって毎日のコンディションや症状、心境が変化します。その様子をInstagramのストーリーズで発信し、自分の様子を知ってもらう。
そうすることで、同じ治療をしている方や、これから治療が始まる方が見通しをもって臨むことができればと、副作用の症状がつらい抗がん剤を点滴した数日後も、欠かさず投稿しています。
抗がん剤の副作用による脱毛を「断髪式」でスッキリ
抗がん剤の副作用で多くの女性を悩ませる脱毛。
俳優として露出の多い仕事をしている西丸さんですから、やはり抗がん剤治療をすると決まる前までは「脱毛だけは嫌だ」と思っていたそうです。
しかし、脈管侵襲がみられたことにより抗がん剤治療が決まると、西丸さんの心境に変化が。「坊主になることで、新たなオシャレができる!」。覚悟さえ決まればラフに捉えることができ、実際に断髪した後は、わずらわしかった抜け毛がなくなりスッキリさっぱりだったそうです。
「しばらくは自分の坊主姿に見慣れず、鏡を見るたびに新鮮に感じていました」とすべてをポジティブに変えていく西丸さん。そのパワーに驚かされ、前に進む勇気をもらえますね。
この時の断髪式の様子を西丸さんはInstagramのリール動画に投稿しています。
「親友2人に手伝ってもらい、人生でなかなか経験できないことを3人で共有している感じが楽しかった」と話す西丸さん。リール動画では3人の仲の良い様子が伺えます。
これから目指す活動と発信について
現在は抗がん剤治療中のため、お仕事をお休みしているとのことですが、治療が終わったらまたお芝居がしたいと話してくれました。今の髪型を生かして「坊主の役があったらぜひやりたい!」と前向きです。
Instagramの投稿にも反響が大きく「投稿を見て元気になった」「勇気をもらえた」とメッセージが来るのだそう。
「がんと聞くと、ネガティブなイメージが圧倒的に強く、病気がわかって不安に押しつぶされそうになっている方がたくさんいると思います。そんな方たちが自分の楽観的な投稿を見て、大丈夫かもしれない、一緒にがんばってみよう。そんなふうに色々なことを前向きに感じて、情報共有できるような場でありたいです」西丸さんはそう語ってくれました。
そしてSNSの中で西丸さんが何度も私たちに訴えかけていることがあります。
「自分は健康だからと私のようにアグラをかいて検診に行っていない方、ぜひ、検診に行ってください!不正出血が少しでも出ている方、子宮体がん検診も受けてくださいね」
西丸さんのリアルな発信は、多くの女性に検診の大切さを伝えてくれています。
症状がないと、なかなか足が向かない検診ですが、早期発見、早期治療が最も大切ながん治療。1人でも多くの方の明るい未来のため、西丸さんの発信は続きます。
ほ・とせなNEWS編集部