タンス預金に「福沢諭吉」の1万円札は危険!? 7月から「新札」になる前に銀行に預けるべき? 旧札を預金すると「税務署」に怪しまれるの?

タンス預金はなぜ怪しまれる?

タンス預金とは、タンスの中など自分の手元に現金を保管しておくことです。タンス預金は銀行預金などと異なり、税務署が把握しにくい資産のため、脱税の手段として用いられることがあります。

例えば、相続税を申告する際に、実際には銀行預金が1000万円、タンス預金が1000万円あるにもかかわらず、タンス預金の1000万円は存在しないことにして申告するといった手口が考えられます。

しかし、税務署は調査に入る前に国税総合管理システムなどを使って、対象者のおおよその収入や資産を調べます。申告された内容と矛盾があればそこを重点的に調査するため、前記のようなうその申告をするとバレてしまう可能性が高いでしょう。

逆にいえば、自分で貯めたお金をタンス預金して、税務署への申告をごまかさなければ、タンス預金自体に何も問題はありません。

ただし、新札への切り替えにともなって、タンス預金を新札に交換したり、銀行へ預けたりする際には注意が必要です。タンス預金が自分で貯めたものであることを説明できなければ、こっそり贈与されたものではないかなどと疑われる可能性もあります。もっとも、これは新札になる前に銀行に預けたとしても同じことです。

タンス預金のデメリット

タンス預金は、お金が必要になったときにすぐに使えるなどのメリットがあります。しかし、泥棒に盗まれる可能性や、火災などの災害で失われる可能性などデメリットも存在します。したがって、大金をタンス預金にすることはおすすめしません。

旧札はいつ使えなくなる?

ところで旧札はいつまで使えるのでしょうか。実は旧札の使用期限は基本的になく、1946年に行われた新円切り換えなど特別な措置がとられない限り使えます。例えば、1958年まで発行されていた二宮尊徳の1円札も1円として利用可能です。

ただし、古い貨幣は使う際にニセ札ではないかと疑われることがあるため注意が必要です。私は前職が警察官だったのですが、あるとき「ニセ札です!」と通報がありました。事情を聞いてみると「ホログラムのない1万円札を使おうとした。デザインも微妙に違う」ということでした。現物を手にしてみるとニセ札には感じられなかったため、よくよく調べてみると、2007年まで発行されていた1万円札のD号券でした。

結局、通報者の早とちりでしたが、警察官だった私も「これは真札ですよ」と即答はできませんでした。人の慣れはおそろしいものだと感じたエピソードです。

このようについ10数年前まで発行されていた紙幣でも、ニセ札だと勘違いしてしまうことがあります。コレクションとして保存したいなど特別な事情がなければ、早めに交換したほうがよさそうです。

まとめ

タンス預金は脱税などの手段として用いられることもあります。しかし、自分でコツコツ貯めたお金であることを説明できれば、タンス預金自体には何の問題もありません。ただし、タンス預金は盗難や紛失などの危険性もあることから大金の保管はやめたほうがよいでしょう。また、旧札は時間が経つとニセ札扱いされる場合もあるため、買い物などに使うのであれば早めの交換をおすすめします。

出典

日本銀行 その他有効な銀行券・貨幣
日本銀行 一万円券

執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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