破天荒さは『あぶ刑事』以上!? おバカ要素も魅力「トンデモ刑事」が大活躍する名作ゲーム

セガサターン用ソフト『ダイナマイト刑事』(セガ)

型破りなキャラクターや演出が人気を博した『あぶない刑事』シリーズ。2024年5月に新たな劇場版映画が公開され、8年ぶりの新作にファンは歓喜した。

さて、ゲームの世界にも“あぶ刑事”を彷彿させる、ちょっと過激な刑事たちが多数登場している。数々の“トンデモ刑事”を題材としたゲームたちについて見ていこう。

■敵も味方もとにかく個性的! 『ダイナマイト刑事』

1996年にアーケード版が稼働し、のちにセガ・エンタープライゼス(現:セガ)がセガサターン用ソフトとして移植したのが、トンデモ刑事たちが大暴れするアクションゲーム『ダイナマイト刑事』だ。

本作は『ファイナルファイト』シリーズなどでもお馴染みのベルトスクロールアクションを採用しており、横へ横へと進みながら群がる敵をなぎ倒し、ステージを進んでいく仕様となっている。

実は本作、“ベルトスクロールアクション”と“3D”を組み合わせた業界初の作品で、爽快なアクションシーンのみならず、画面に表示される特定のボタンを入力し危機を乗り越える“ビジュアルシーン”という、現代における「QTE」にも近いシステムも導入している。

アクションシーンでは生身の格闘技はもちろんのこと、現場で手に入るさまざまな武器を使用することが可能。そのラインナップは多種多様で、拳銃や機関銃といったスタンダードなものからロケットランチャーのようなとんでもない威力を秘めたものも。それに加えて、モップや鉄パイプといった近接武器や柱時計、はてはコショウや殺虫剤……と、ありとあらゆる手段で群がってくる敵を撃破することが可能なのだ。

また、ワイルドな活躍が目立つ刑事たちもさることながら、彼らに襲い掛かる敵が個性的なのも本作の特徴だろう。チンピラや武装した悪漢などは序の口で、パンツ一丁の男や相撲取り、四本足のロボなどなど……なぜ襲ってくるのかも分からない難敵ばかりで、インパクト大な見た目に唖然としてしまうかもしれない。

こうした“おバカ要素”も本シリーズのウリの一つとなっており、のちに登場する続編にもそのエッセンスがしっかりと継承されている。

テロリスト相手に大暴れするトンデモ刑事だけでなく、敵や世界観、なにもかもが破天荒極まりない名作アクションゲームである。

■番組を追体験しつつ撃ちまくれ! 『ザ・警察官 新宿24時』

2000年にアーケード版が稼働し、のちにコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)によってPS2用ソフトとして発売された『ザ・警察官 新宿24時』は、ドキュメンタリー番組ではおなじみの“警察24時”をモチーフとしたガンシューティングゲームである。

本作の最大の特徴は、従来のガンシューティングに肉体の動きを感知するセンサーを採用した点だろう。

具体的にはプレイヤーの“姿勢”を感知するセンサーで、体を傾けたりしゃがむことで、遮蔽物に隠れて相手の攻撃をやり過ごすことができる。敵を正確に射撃するのはもちろんのこと、足腰を駆使して素早く回避する必要があり、これまでのガンシューティングとは一味違ったゲーム体験をすることができるのだ。

PS2版では別売りの「人工網膜センサー キャプチャーアイ」と「ハイパーブラスター」を利用することで、アーケード同様の遊び方が可能。もちろん、PS2コントローラーでもプレイはできるが、より直感的に遊ぶためには上記2点が必須となるだろう。

前述のとおり「警察24時」をモチーフとしていることから、ナレーションを“本家番組”でも有名な田中信夫さんが担当していたりと、豊富なBGMと相まってかなりの没入感を味わうことができる。

その一方、群がる暴力団や指名手配犯を相手に拳銃をガンガン発砲していく姿は“警察官”としてはかなりぶっ飛んでおり、しかも敵を倒すほど出世していくさまは、なんともシュールな光景だ。

さらに一般人を誤射するとペナルティが課せられるシステムなのだが、この場合、プレイヤーの誤射が“不祥事”として記事に取り上げられるなど、どこかクスリとしてしまう“おバカ要素”を盛り込んでいるのも面白い。

すこし過激な警察官の奮闘を全身で体験できる、実に破天荒なガンシューティングゲームといえるだろう。

■渾身の“体当たり”で逃亡犯を止めろ! 『チェイスH.Q.』

刑事が主人公のゲームでは、これまで紹介したようなアクションやシューティングの要素が強めの作品が多いが、一方で“レースゲーム”のような一風変わったジャンルをベースとした作品も登場している。

1988年にアーケード版が稼働し、のちにさまざまなハードに移植されたタイトーの『チェイスH.Q.』こそ、そんな“刑事”と“レース”を見事に融合させた一作だ。タイトルが示す通り、本作は車で逃亡を図る犯人を車で追いかけ、逮捕することが目的となっている。

ゲームの内容としては逃走中の犯人に追いつく“前半パート”と、犯人と激しいチェイスを繰り広げる“後半パート”に分かれており、全5ステージで構成されている。

前半パートでは画面に現れる矢印通りに分岐を選び、犯人へと迫っていく。表示された方向にいかないとタイムロスになってしまうため、素早く操作し、表示される道に進まなければならない。

そして、後半パートになると、犯人の車を追いかけてなんとかその足を止める必要があるのだが、この方法が銃による射撃などではなく、なんと“自分の車をぶつける”というぶっ飛んだ方法なのだから驚かされてしまう。

また、プレイヤーが操作する車には回数限定で使える“ターボ”が備え付けられており、一定時間、犯人と並走をすることでも逮捕は可能だ。

卓越したドライブテクニックで相手と並走し、穏便に済ませるのも良し。車同士をぶつけ合い、容赦なく相手の車を破壊して引きずり下ろすのも良し。

レースというジャンルを独特の世界観にアレンジした、実に個性的な一作といえるだろう。

ゲームに登場する“刑事”たちは皆、現実離れした破天荒な活躍で群がる敵をなぎ倒し、力技によって凶悪犯罪を鎮圧化してみせる。アクション、シューティング、レース……さまざまなジャンルで大暴れする“トンデモ刑事”たちの活躍を、ぜひ自身の手で体験してみてほしい。

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