親戚が少ないので、将来、身内の家・土地・お墓を処分しなくてはと考えています。「墓じまいは難しいよ」と言われたのですがどのくらい大変なのでしょうか?

墓じまいとは

墓じまいはお墓を引っ越すことで改葬とも呼ばれています。今ある墓地を撤去したあとに更地にして墓地の管理者に返還し、遺骨は別の形で供養します。

なお、遺骨を勝手に取り出して別の場所で供養したり、廃棄したりするのは法律のもと行えません。行政手続きが必要なため、墓じまいは難しいといわれていると考えられます。

墓じまいの費用相場

ライフドットを運営する株式会社エイチームライフデザインが行った調査「墓じまいに関する意識調査」によると、墓じまいにかかった費用と割合は表1の通りです。

表1

「墓じまいに関する意識調査」を基に筆者作成

4人に1人以上は50万円未満で墓じまいをしていると分かります。およそ9%の人は墓じまいに300万円以上かけているようです。墓じまいにかかる費用は地域や宗教によっても異なると考えられます。

墓じまいに関するトラブル

ここでは実際にあった墓じまいに関するトラブルを紹介します。現在のお墓が自宅から遠くにあり、自分自身も入るつもりがなかったため、墓じまいをお寺に申し出たところ、費用として300万円ほどの高額な離檀料を要求されたケースがあります。支払えないと伝えたところ、ローンがあると提案されたそうです。

このように、お墓を片付けてお寺といった管理者に返還する墓じまいでは、離檀料と呼ばれる高額なお布施を要求されるケースが後を絶たないようです。

お布施はお寺やお坊さんに対してお礼の気持ちを表すもののため、事前に費用が決まっていない場合も多くあります。そのため、いざ墓じまいをしようとしたときにトラブルが発生するケースが増えています。

離檀料の金額に基準はないため、費用に納得がいかない場合は基本的にお寺と話し合いでの解決が必要です。家族や親族も交えてよく話し合うようにしましょう。

墓じまいする人が増えている理由

ここでは、墓じまいする人が増えてきている理由を3つ紹介します。近年、少子高齢化の影響もあり、お墓に対する価値観が変化してきています。

少子高齢化や核家族化

これまで、日本のお墓は、「◯◯家の墓」と家名が刻まれ、家族や親族の遺骨を納めて代々受け継ぐ形式が一般的でした。しかし近年、少子高齢化や核家族化が進んだことで、単身者や夫婦だけなどのコンパクトな世帯が増えています。

そのため、お墓を引き継ぐ子どもがおらずお墓の管理が難しくなり、自分たちの代で墓じまいを選ぶ世帯が増えているようです。

また、地方では進学や就職、結婚などの節目をきっかけに都市部に移り住む人が増えており、土地の過疎化が進んでいます。若い世代が地域に残らなくなるため、お墓の管理者の高齢化が進み、墓じまいが増えています。

お墓に対する価値観の変化

現代社会は多様化が進み、生き方を自由に選べるようになってきました。お墓への価値観もさまざまであり、個性や自分らしさを意識する傾向が高まってきています。

そのため、家族代々受け継がれてきたお墓だけではなく、夫婦のお墓や自分一人用のお墓などが登場しています。お墓は受け継ぐものという価値観が当たり前ではなくなってきた現在、子どもや孫に負担をかけないようにと墓じまいをする人が増えていると考えられるでしょう。

お墓の維持管理費の負担増加

お墓を立てて維持していくためには、霊園や寺院に管理料を支払い続ける必要があります。代々受け継がれていくタイプのお墓は、子どもや孫に経済的な負担をかける可能性があるでしょう。そのため、墓じまいをする人が増えているといえます。

4人に1人以上は50万円未満で墓じまいをしている

墓じまいをするためには行政手続きが必要なうえに、お寺によっては高額な離檀料を求めてくる場合があります。離檀料はお布施のような扱いのため、多くのケースで明確な料金が設定されていません。

高額な請求をされた場合、基本的にはお寺と話し合いをして解決する必要があります。もし対応方法に悩んだら、まずはお住まいの自治体の消費生活センターに相談しましょう。

出典

式会社エイチームライフデザイン「墓じまいに関する意識調査」

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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