ホームレスを隣市に「押し付け」?警察車両から降ろし置き去りにしたと批判の声(アメリカ)

【あわせて読みたい】「病院代が払えない」。76歳夫が入院中の妻を絞殺したと供述「もうこれ以上は世話ができなかった」

アメリカ・カリフォルニア州のバーバンク市警がホームレスを隣接するロサンゼルス市に置き去りにしたとして、ロサンゼルス市議会議長が批判の声をあげている。

ポール・クレコリアン市議会議長が6月7日、バーバンク市警の警察官2人がロサンゼルス市内で警察車両からホームレスの男性を降ろし、走り去る様子を捉えた動画を公開した。6日午前に撮影されたものだという。

後部座席から降ろされた男性は裸足で、後ろ手に手錠をかけられている。手錠を外されると、その場でバランスを崩すように地面に両膝をつき、うつ伏せに倒れ込んだ。

ロサンゼルス・タイムズCNNが取り上げている。

バーバンク市はロサンゼルス中心部から北東12マイル(約20キロ)に位置し、人口は10万人ほど。ウォルト・ディズニー・スタジオやワーナー・ブラザーズ・スタジオなど世界的に有名な企業が拠点を置いていることで知られている。

7日に記者会見を開いたクレコリアン氏によると、ホームレス男性が置き去りにされたのはバーバンク市との境目からほど近いノース・ハリウッドだった。

同氏の事務所スタッフが男性を発見した際、具合が悪そうで自分で歩くことができなかったため、必要な治療を提供しているところだという。

ロサンゼルスのテレビ局ABC7は、ロサンゼルス市の周辺自治体らがホームレスの人々を同市に押し付けているという指摘があると報じている。クレコリアン氏は「近隣の市のなかには、家を持たない市民に住む場所を提供するなどのやるべきサービスに資源を使っていないところがある」と不快感を示している。

バーバンク市長のニック・シュルツ氏は8日、「ロサンゼルスのクレコリアン市議長によって提起された懸念について、バーバンク市として重く受け止めています」とコメントを出した

その後、バーバンク市警が経緯を説明する声明を発表した。

説明によると、バーバンク市警は6日午前8時45分、市内の医療センター近くのバス停に裸の人物が座っているとの通報を受けた。

駆けつけた警察官はこの人物がホームレスだと知り、医療的な支援が必要か尋ねたところ、断られたという。男性には交通手段がなさそうだったことから、服を着ることに協力してもらうためにも、男性の望む場所に警察車両で連れて行くことにしたとしている。

関係する警察官が身につけていたボディカメラや警察車両の車内カメラの映像や目撃者への聞き取りなど、調査をするという。

© ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社