英BBCでアガサ・クリスティー作品を多数手掛けた脚本家、ライバル局の新作ドラマ執筆

2015年の『そして誰もいなくなった』を皮切りに、『アガサ・クリスティー 無実はさいなむ』や『アガサ・クリスティー 蒼ざめた馬』など、英BBC製作によるアガサ・クリスティー作品のドラマ版の多くで脚本家を務めたサラ・フェルプスが、BBCのライバル局である英ITVの新作ドラマ『Daughter(原題)』を手掛けることが明らかとなった。米Deadlineが報じている。

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英国二大巨頭のビジネスが影響?

「現代のダークな物語」と称される『Daughter』は、「子どもたちを守るために、どこまでできるか? そして、どれほど子どもたちのことを知っているのか?」をテーマに、まったく異なる背景を持つ二人の母親と、いじめの告発をきっかけに友情がこじれた10代の娘たちを追う。自分の娘を守ろうとする母親たちが激しい争いを始めたことから対立は緊張感を剥き出しにして家族を引き裂き、その余波が地域社会にまで及んでしまう──。

フェルプスは新プロジェクトについて、「私は長い間、この扱いにくくて複雑な登場人物たちについて考えてきました。誰よりも愛する人々について私たちが自らに言い聞かせる嘘を語る機会を得られてワクワクしています」と語った。ITVでコミッショニング・エディターを務めるヘレン・ジーグラーは、フェルプスを「現代における並外れた脚本家の一人」と称えている。

これまでにフェルプスは、クリスティー作品としては前述のほか、『アガサ・クリスティー 検察側の証人』『アガサ・クリスティー ABC殺人事件』の脚本も担当。そのほかにも、犯罪捜査ドラマ『ダブリン殺人課』をはじめ、『オリバー・ツイスト』や『大いなる遺産』など、数多くのBBCドラマで活躍してきた。

今年3月にはBBCがITVのストリーミングサービス BritBox Internationalの株式を買い取った過去最大規模の取引が報道され、翌4月にはBBCの大ヒットドラマ『SHERLOCK/シャーロック』を生み出したイギリスの製作会社Hartswood Filmsが自社の株をITVに売却する可能性が高いと報じられたばかりだ。まるでBBCとITVの間で火花が飛び散っているかのような状況下で、BBCのお抱え脚本家であったフェルプスがITVの新作ドラマを手掛けるとは、英国ドラマの二大巨頭とも言えるBBCとITVのビジネスが影響しているのかもしれない。

なお、『Daughter』でプロデュースを担うのは、BBCの『英国スキャンダル ~セックスと陰謀のソープ事件』で製作総指揮を務めたドミニク・トレッドウェル=コリンズが率いるプロダクション会社Happy Prince。以前にフェルプスはプロデューサーとして、BBCの『英国スキャンダル』と『EastEnders(原題)』でトレッドウェル=コリンズとタッグを組んでいるため、息の合ったパートナーシップが期待できそうだ。

(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline

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