「笑かすつもりだったのに…」すがちゃん最高No.1が初恋の女の子に泣かれた家族の話

現在ブレイク中のお笑いトリオ・ぱーてぃーちゃん。ギャル二人に囲まれるツッコミのギャル男こそが、すがちゃん最高No.1だ。

パリピなネタとは対象的に、彼が中学1年生から一人暮らしをしていたという壮絶な過去が、本人の口から明かされて話題を集めている。12歳、中学1年生の春に、家族から「1抜けピ」をした父親を皮切りに、共に暮らしていた伯母・祖父・祖母も家を出てしまい、中学1年生で一人暮らしになったというすがちゃん。

本人が“ファニー”と語る経験談から、これまであまり話していないという母親のエピソードまで、ニュースクランチ編集部が聞いた。

▲すがちゃん最高No.1(ぱーてぃーちゃん)【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

中1で一人暮らし、でも周りにはバレてない

一人暮らしとなったのは中学1年生。漫画のクールキャラに憧れ、一人暮らしであることを、この世の誰にもバレないように立ち回ることを自身で“制約”にしていたという、すがちゃん。

高校生まではその制約を守り、一人暮らしであることを友人だけでなく、先生にも秘密にしてきたが、専門学校への進学を機に山形から上京。これを機に、周りの人にも家庭の話をするようになった。

「高校を卒業して上京して、専門学校に入ったんですけど、同じ学校から進学した人もいなかったので、完全にゼロイチで友達を作らなきゃいけなくて。そこで、もう隠す必要もないし、ひとつの話題になるかなと思って、徐々に家からいなくなった家族の話をしたんです。そしたら、すっごいウケて。そのときに“僕の経験って、おもしろい話なんだ!”と確信しました。

芸人仲間に話すきっかけになったのは、養成所に入ったとき。親の収入を提出する機会があったんです。親父から書類をもらったんですけど、年収9万って書いてあったんですよ(笑)。月収じゃなくて、年収ですよ!?

“さすがにこれは恥ずかしい”と思って隠してたんですけど、そのときの相方がデリカシーないヤツだったんで、“お前の親、年収いくらだよ”って無理やり見てきて。9万っていう数字を見て、“お前の親父やべえな(笑)”って……。

でも、そこから徐々に楽屋や飲み会とかで、ほかの芸人にウケる程度の話をするようになりましたね。まさかテレビで話すとか、本になるとまでは思ってなかったですけど」

「年収9万」だけでなく、奇想天外なエピソードたくさんある父親は、「金のない勝新太郎みたいな男」だったという。周囲のことは気にせず、自分がカッコイイと思ったことだけ信じてやっていたようで、すがちゃんも振り回されてばかりだった。

「本当に気ままというか、自分の欲望に素直に生きている感は憧れますね。今まではそんなふうに思ってなかったんですけど、今回、『中1、一人暮らし、意外とバレない』(小社刊)を書いていくなかで、“俺、親父に憧れてる部分もあったんだな”って改めて気がつきました」

良くも悪くも“カッコつけ”は父親の遺伝

学生時代は周りを振り回す父親のようにはなりたくなかったため、すがちゃん自身は公務員になって、早めに結婚して子どもと幸せな家庭を築く姿を描いていたというが、不安定な芸人の道を選んだ自分について、いつの間にか親父と同じルートを歩いてましたと笑う。

芸人になる前、まだ父親を反面教師にしていた頃の忘れられないエピソードも教えてくれた。

「18から20歳ぐらいのときに、3~4年付き合ってた彼女と2年ぐらい同棲していたんで、このままいつか結婚するんだろうなって思ってたんです。だけど、俺が芸人になろうと思うと伝えたら、その子に“じゃあ、お別れしたほうがいいね。だって芸人だったら、女遊びも芸のひとつだと思うから、彼女いないほうがいいでしょ”って言われて……。あのときの別れは泣きましたね(笑)」

また、息を引き取る直前までナンパをしていたという父親は、とんでもなくエロ本を持っていたという。

「ベットのなかにしまってたんですけど、布団をめくったら、本当にぎっしり入ってて。多すぎて、ところどころ敷布団がちょっと小高くなってたくらい(笑)。毎週水曜はアダルトデーでDVDが半額で借りれたんですよ。そんときも抱えて持って帰ってきてましたね。僕も親父が外にいるときに見てたんですけど(笑)」

▲破天荒な父親のエピソードを語ってくれた

自由な生き方だけでなく、“カッコつけ”な性格も父親から遺伝したものだというすがちゃん。

「しんどいこともしんどいで終わらない。イヤなことがあっても、まぁイヤな目に遭ってる今の自分、カッケーからなって思えるんで(笑)。でも、よくないところでもあるんですけどね。めっちゃ寝坊してるときでも、“おもしろくなってきた”とか思っちゃうんで、焦んないんです(笑)」

“うちのギャル二人”は配慮ができないんですよ

そんなすがちゃんの相方、“うちのギャル二人”こと金子きょんちいと信子を取り扱えるのも、すがちゃんだから。

「遅刻とかもひどかったんです、出会った当時は叱ったりしてましたけど……。それよりもうちのギャル二人は、まじでデリカシーが終わってるんすよ。

アイドルの子たちと番組で一緒になったとき、僕が前日にめちゃくちゃニンニク料理食べちゃったんで、口が臭かったことがあったんです。そういうときって、配慮がある人だったら裏で“昨日、ニンニク料理食べた?”“ブレスケアとか食べたほうがいいよ”とか言ってくれるじゃないですか。

でも、あの二人はわざわざアイドルの子たちがいるところで、でっかい声で“口、くっせ!”“昨日、なに食ったん?”とか平気で言ってくるんですよ。なんて配慮のないこと言うんだと。しかも二人そろって……。

そこでは“今、現存してるニンニク全部食ってやったんだよ”とか笑いで返せたけど、僕じゃなかったら無理ですよ(笑)。めっちゃ恥ずかしかったんで。僕は絶対そんなこと人に言わないです。そういう、相手が恥をかくだけになるようなこと絶対言わないですけど、あの二人はそういう配慮ができないんですよね」

▲相方のギャル二人との関係は良好だ

壮絶なエピソードを赤裸々に書いた『中1、一人暮らし、意外とバレない』は、発売してすぐに重版がかかるなど話題となっている。

「芸人ってエピソードを話すとき、“盛る”じゃないですか。でも、僕の場合は逆ですからね、“下げて”ます。もっと細かい部分まで書くと、人によっては引いちゃうようなこともあるので、実際よりはだいぶまろやかに、ファニーになってます(笑)」

たしかに「中学1年生で一人暮らし」というワードだけを聞くと、壮絶な経験談が語られているのではないかと想像されるが、すがちゃん自身は当時からその生活をきついとは感じておらず、むしろ、根っからの“カッコつけ”であるため、カッコよくて笑えるエピソードだと話す。

「一人でトークライブをやったとき、メディアでは“ちょっと……”と言われるような内容の話もしたんです。僕のソロライブに来てくれているお客さんなら笑ってくれるだろうと思って、“テレビでは話せないんですけど”って前提で、マイルドじゃない部分まで実際の経験をしゃべったら、お客さんから“そりゃ無理だよ!”って野次が飛んできたことがありました(笑)。

あと、小中一緒だった初恋の女の子と25~26ぐらいのときに、たまたま東京で会うことがあったんです。好きだったし、ちょっと下心も芽生えるじゃないですか。ビルの11~12階ぐらいの雰囲気のいい居酒屋さんで飲んでたんですけど、そのときに本で書いてるような家庭の話をしたんです。“中学生のとき、じつはね~”って。そしたら、その子が急に泣き出しちゃって。

僕的には笑かすつもりで話したんですけど、その子が窓のほう見ながら“すがちゃんはこんなにいろいろ抱え込んでるのに、東京で頑張ってんだね……”とか泣きながら言われて……。結局、口説くような雰囲気にもならず、早めに解散しました(笑)。なので、今回の本ではそういう笑えない話は“下げて”書いてます」

ちなみに、相方二人にも本を渡したそうだが、 ニュースクランチの取材時点では(金子)きょんちぃが50ページ、信子が100ページしか読んでなかったと教えてくれた。

▲カッコよくて笑えるエピソードが満載の一冊

周囲の人から愛される性格は母親譲り

意識していなくても、周りからはカッコつけていると思われることもあると語るすがちゃんに、憧れの“カッコイイ人”を聞いてみた。

「僕はいろんな人のカッコイイを寄せ集めてます。木村拓哉さん、亀梨和也さん、GACKTさん、及川光博さん。この辺りの人のカッコイイ部分をすべて参考にしてます。粋かどうか。それと俯瞰で見たときに、カッコイイ立ち様になってるか。

最近、仲よくなった女の子に“最初、カッコつけ過ぎててやべぇヤツだと思った”って言われたんですよ。登場は石原軍団みたいなのが一番カッコイイと思ってるので、海辺の舘ひろしみたいな感じになっちゃうんです。

だけど、僕のことをよく知らないその子からしたら、僕がカッコつけているのは芸能人かぶれしてるからだと思ったらしいんですよ。でも、しゃべってみたら“この人、根っからこういう感じなんだ、ずっとカッコつけてるんだ”ってわかってもらえました。そういう感じで、だいたい最初は嫌われるんですよね(笑)」

根っからのカッコつけ。これは父親に似ただけではなく、すがちゃんが3歳のときに亡くなった母親もだったという。

「僕が3歳のときに母親は亡くなったので、母の話はほとんど聞いたことがないんです。でも、死ぬ間際、僕がお見舞いに行ってたときに、僕が母親だって認識してなかったらしく、“このおばちゃん誰なの?”と言ったらしいんです。そしたら母は、母親ってわかったら死んだときに僕が悲しむと思ったらしくて、“おばちゃんだよ”みたいな感じで言ってたらしいんです」

最後に、すがちゃん自身の今後の願望を聞いた。

「ここまできたら、映画かドラマかはわからないですけど、実写映像化してほしいですね。僕の役は……成田凌さん、いっちゃうか~」

(取材:梅山 織愛)


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