これはライカのキーボードですか? いいえ。ASUSのROG Azoth Extremeです【道越一郎のカットエッジ】

ASUSがまたやってくれた。時に挑戦的なPCや周辺機器を繰り出すことでおなじみの同社だが、今度はキーボードだ。ゲーミングブランドROG(Republic of Gamers)から7月早々にも発売予定の「ROG Azoth Extreme」。6月4日から7日まで、台湾・台北で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2024に先立ち、3日にASUSが開催したプレス向け発表会でお披露目された。Extremeとの名前が示す通り、現行モデルの「ROG Azoth」に比べて、こだわりがさらにすごい。10キーレスのいわゆる75%のコンパクトなキーボードだが、重さは約3kg。持つとずっしりと重い。それもそのはず、シャーシがフルアルミニウムでできている。ここまでがっしりしたキーボードはほとんど記憶にない。

7月以降に発売予定のキーボード「ROG Azoth Extreme」。ゴム製パームレストも付属する。

その重さゆえに、とても持ち運んで使えるような代物ではない。しかし、使用中の安定感はずば抜けている。ゲーム中に興奮して変な角度でキーボードを叩くことになっても、おそらくびくともしないだろう。もちろん打鍵感も極めて快適。アルミシャーシならではの剛性の高さによるものだ。なによりフルアルミということで「ブツ」としての存在感は強烈。開発陣が意識したかどうかはわからないが、いまだにファンが多いドイツの老舗「ライカ」のカメラに似た空気感がある。その完成度の高さと「ごつさ」から「いざとなれば武器になるかも」と言われる点も共通。本体を眺めつつちょっと触りながら酒が何杯でも飲めるという感覚も、ライカに通じるものがある。

独自の多層構造で剛性を保ちつつ、柔らかなキータッチを実現。付属の「足」はさながらスピーカーを設置する際に使う「インシュレーター」のようだ

スペックも充実している。カーボンファイバープレートやウレタンフォーム、シリコンパッドなどの多層構造にしたことで、クッション性も持たせ高い打鍵感を実現。さらに調整可能なガスケットマウントを採用し、全体的なキータッチを、ソフトとハードの2段階で調整することもできる。本体右上には、3方向コントロールノブ付きの、フルカラー有機ELタッチスクリーンを備え、システム状態やキーボードの設定を確認、変更が可能。PCとの接続は、有線、Bluetooth、低遅延ワイヤレスのROG SpeedNovaのいずれでも可能。同時に3台のデバイスに接続して切り替えて使用できる。スイッチには同社オリジナルのROG NX Snowメカニカルスイッチを採用した。打鍵音は静かだ。動作中に取り換えられるホットスワップにも対応。もちろんWindowsとMacのいずれでも使用可能だ。

パネルを開くと、キータッチを変更するレバーにアクセスできる

COMPUTEX TAIPEIでは毎回、数多くのPCやPC周辺機器のメーカーが出展する。ASUSはASUSブースとROGブースの2枚看板で展開。ブースでもハンパないスペックのROG Azoth Extremeに注目が集まっていた。メジャーメーカー以外にも、日本では聞かないような台湾や中国の中小メーカーの出展も楽しい。特に今回はキーボードが目を引いた。驚いたのは、ほとんどの出展製品の打鍵感が素晴らしかったことだ。どのキーボードを触っても、非常に心地よい打鍵感の製品ばかり。これから、ちょっと流行りそうなディスプレイ付きキーボードや、極薄でも打鍵感ばっちりのキーボードなどもあって、ROG Azoth Extremeともども、日本市場での登場が楽しみだ。(BCN・道越一郎)

ASUS製ではないが、COMPUTEX TAIPEIにはこのような大きなモニタ―がついたキーボードも出展されていた。ノートPCではなくあくまでモニタ―付きキーボードだ

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