難航するブラウブリッツ秋田の新スタジアム整備に光!消えた一番人気「八橋運動公園案」が復活したワケ

難航するJ2ブラウブリッツ秋田の新スタジアム整備。

クラブと秋田県と秋田市、いずれも「整備が必要」という方向性では一致しているが、県が進めてきた計画は市によって否定され、市が進める計画は県によって否定されるという流れで停滞している。

穂積志市長のもとで現在進められている外旭川での整備案は、佐竹敬久知事がスタジアム整備を含む「外旭川地区まちづくり構想」に対して否定的な姿勢を崩しておらず。3月29日に基本計画が公表されたものの、事業を進めるために必要な県の同意が得られる見込みは立っていない。

そうしたなか、6日に開会した6月市議会において、穂積市長が注目の発言をした。『AKT秋田テレビ』が伝えている。

現状の計画では新スタジアムの着工が2030年になっていることに対し、Jリーグからは「整備スケジュールのさらなる前倒し」を求められていると語った穂積市長。さらにこう続けた。

「八橋(やばせ)運動公園を含めた他の場所での整備の可能性についても排除せず、引き続き、ブラウブリッツ秋田、県、市の三者で幅広く検討していきたいと考えています」

ここ数年、外旭川での整備一本でスタジアム整備を推し進めてきた秋田市だが、事態の打開を図るため軟化。他の場所での整備の可能性についても「排除せず」と明言した。

唯一名前の挙がった八橋運動公園は、ブラウブリッツ秋田の現ホームであるソユースタジアムがある市中心部の公園。

2020年2月に秋田県と秋田市がまとめた「新スタジアム整備に向けた諸課題の調査・研究について(最終報告)」において、整備が困難だと一度は結論付けられた場所だ。

その理由について上記報告書には以下のように記載されていた。

「第2球技場と健康広場の代替地に関し、県が案を提示し、八橋運動公園の設置者である秋田市が提案に対する考え方を示すという手法で検討を重ねたが、いずれの案も秋田市が求める条件を満たさず、現実的な解決策を見出すことはできなかった。 県・市とも、さらなる代替地の案はなく、課題解決の見通しがないことから、当地への整備は困難である。」

当時検討された3つの候補地の中では八橋運動公園を推す声が最も多く、県もここでの整備を目指し動いていた。

しかし、使用できなくなる第2球技場と健康広場の代替地選定で難航。いくつもの候補地を提案するも、八橋運動公園を管理する秋田市の賛同を得られず、同公園内での整備は困難と判断された。

ところが、秋田市が八橋運動公園での整備が困難な理由の一つとして挙げていた「ラグビー関係者など現スタジアム利用者の理解を得られない」という点に関して、今年5月に産経新聞が「事実と異なる報告があった」と報道。

ラグビー関係者の中でも当時から八橋運動公園でのスタジアム整備にむしろ賛同する声のほうが多かったことが明らかとなっている。

また、状況的な変化として、Jリーグは昨年12月に「スタジアム基準」を改訂。入場可能数に関して以下の文言が追加された。

「Jリーグ規約第34条に定める『理想のスタジアム』の要件を満たし、ホームタウン人口等の状況、観客席の増設可能性(特に敷地条件)、入場料収入確保のための施策等を踏まえて理事会が総合的に判断した場合、5,000人以上(全席個席であること)で基準を満たすものとする」

これまでJ2で必要だった「10,000人以上」から、条件はあるものの地域事情に応じる形で「5,000人以上」へと緩和されたこともあり、風向きは変わりつつある。

そうしたなかで出てきた穂積市長の今回の発言。八橋運動公園の管理者である秋田市がこれまで挙がった課題に対し、本気で取り組めば解決につながる可能性は十分にあるだろう。

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2025シーズンのJリーグクラブライセンスの申請期限が6月末に迫るなかで、状況がどのように推移していくのか見守りたい。

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