「子ども産んだら生活苦」自由記述にあふれる「悲鳴」<2023年度沖縄子ども調査>

母親に抱かれる赤ちゃん(イメージ)

 県が6日、発表した2023年度「沖縄子ども調査(0~17歳)報告書」。全体的に世帯収入の増加傾向が見られた一方で、回答者の約9割が物価高騰で生活が苦しくなったと感じている。保護者が書いた自由記述には、物価高騰によって追い詰められた子育ての現状が浮かび上がる。

 食費を削り、子どもの食べ物を減らさざるを得ないのはつらい。<物価高騰で、栄養バランスの良い食事(野菜やお肉)で買えるものが限られている。ミルクも高くなっているので、基準よりも薄めて飲ませている。補食のチーズや牛乳もあげたいが、少し減らしたり、あげなかったりしている>

 子ども1人の母親は借金がある。<産休・育休中の収入は7割に減った。休業中の1年間、生活費は毎月マイナスになり、借金をしている。妊娠前に生活費を計算し、休業中の借金は復職後に計画的に返済する予定だった。そこに物価高や電気料金値上がりなど不測の事態があり、借金を借金して返済する、を繰り返している>。苦境をつづった記述は<助けてください>と結ばれた。

 夫が単身赴任中という女性は住居費、光熱費などが2倍かかることに。<金銭的負担はいくら働いても大きくなるばかりで、子どもをレジャーにも連れていけない。何もできないつらさで自殺したいと何度も思った。保育料0~3歳児も負担を減らしてほしい>

 教育費への支援を望む声も切実だ。
 <親が経済的に苦しくとも、子どもの教育だけはしっかりできるように教育費の支援、軽減は充実してほしい。そうでないと貧しい家庭からはい上がることが難しくなり、負のスパイラルが続いてしまうと思う>

 課税世帯に支援が届かない現状に、不安も不満も募る。<私も主人もダブルワークをして9~17時で正社員として働き、夜中0~6時コンビニでアルバイトをしてやっと生活が成り立っている。いろいろなものが高くなり、食費も10万超えで、日本で生まれたことが嫌になる。せめて夜は寝たい。子どもたちと寝たい。母親としてそれができないのがつらい。私たちは年収がある世帯とみなされいろいろな支援を受けられない。税金を納めている国民が支援を受けられないのはおかしすぎる>

 疲れ果て、眠気を振り払いながら調査に応じた人たちがいる。
 <このアンケートをしっかり生かしてほしい。仕事は制限され、キャリアにも影響が出て収入も減る中で3人の子どもを育てるのは本当に厳しい。子どもを産んだら生活苦になるのをなんとかしてほしい。子育て世代に、もっと子育てしやすい環境、支援をお願いします>

(宮沢之祐)

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