上昇志向が強いオトナのために、東カレ編集部が厳選した“ワンランク上の自分になれるための本”を紹介します。
今回、紹介するのは、『集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法』樺沢紫苑著(SBクリエイティブ)。
「日々の仕事に追われて、ストレスが多い」「いつも時間がない」「仕事の効率をよくしたい」そんな悩みはすべて「集中力」を高めることで解決します。
精神科医が教える方法を学び、仕事を超速で終わらせ、ゆとりのある生活を送りませんか?
▶前回:国際線外資系CAが教える、円安でもお得に海外を旅する方法とは
▼INDEX
1. スマホは集中力を妨げる!
2. 集中力低下の3大原因
4. 本書のココがすごい!
1.スマホは集中力を妨げる!
スマホが机の上に載っているだけで、集中力や認知機能が低下することが、テキサス大学の研究でわかりました。
スマホを全く利用していなくても、置いているだけで集中力を減じてしまうのです。
私たちに悪魔の誘惑をしかけるのがスマホです。仕事でGoogle検索をスマホですると、そのたびごとに「ゲーム」や「メッセージ」を開きたいという衝動に襲われ、仕事から脱線してしまう人も多いでしょう。
いったん、集中力が途切れると、元の高い集中力に戻るためには「15分」かかるといわれています。15分おきにスマホを見る人は、一日中集中力が続いていないということになるのです。
AmazonプライムやNetflixでドラマなどを見るのが日課の人もいるでしょう。
今は「ドラマが始まってから何分で何%が脱落した」というデータが取得されています。それらのデータをAIが分析して「よりおもしろいドラマ」「途中でやめられないドラマ」を作成しています。
ゲームも同様で、よりおもしろいゲーム、言い換えると「依存症になりやすいゲーム」が次々と登場しています。
AI時代は、「エンタテインメント」の時代ともいわれていますが、精神科医の私から見ると「依存症の時代」です。スマホ依存、ゲーム障害(ゲーム依存)、オンラインカジノからギャンブル障害、ネットショッピングからショッピング依存症になる人もいます。
「おもしろい!」ときには、脳からドーパミン(もっともっとと依存傾向になる物質)が分泌されます。その結果、依存症を作り出すのです。
依存症を引き起こすと、深夜までスマホを利用して睡眠不足に陥り、その結果、昼間の集中力が下がり、仕事の効率も下がります。
そうすると仕事が追いつかなくなり、プレッシャーがかかりストレスも増えます。
仕事に一点集中できる、集中力は「今、ここにとどまる力」であり、「誘惑をコントロールする力」「誘惑をはねのける力」でもあります。
スマホやインターネット、ChatGPTのようなAIツールが普及しているからこそ、「今、ここにとどまる力」という意味で「集中力」が絶対に必要なのです。
集中力が低い人は、一つのことに集中できないので、マルチタスクになりがちです。結果として、さらにパフォーマンスが下がり、定時に終わらず残業が増えて、いつも「忙しい」が口癖になります。
時間がないから、睡眠時間も十分に取れなくなり、気分転換、リフレッシュ時間もなくなります。睡眠不足と疲労の蓄積で、脳のパフォーマンスはより低下します。そうなると泥沼です。
一方で、集中力が高い人はどうでしょう。
集中力が高い人は、集中して効率よく仕事をこなすので、同じ時間、同じ仕事をしても、より早く、より質の高い仕事ができます。
「仕事ができる人」と認識され会社や上司からの評価も高く、昇給、昇進も速い。残業も少なく、定時で帰ることができるので、時間に余裕ができる。
そうすると、睡眠や運動、リフレッシュの時間をしっかりとれて、一日の疲れを残さない、翌日も100%のパフォーマンスで集中力高く仕事ができます。
楽しい時間も増えて、副業をする時間的余裕もでき、さらに収入を増やすことが可能です。ストレスも少なく精神的にも余裕があるので、人間関係も円満。仕事もプライベートも充実しています。
あなたの仕事がうまくいかないのは、集中力が低いから。あなたの人生がうまくいかないのは集中力が低いから、といえます。
逆に言うと、集中力が高ければ、すべてがうまくいきます。集中力がすべてを解決すると言っても過言ではありません。
集中力って、そもそも何?
集中力とは、脳科学的には「前頭前野」が司ると考えられます。
「前頭前野」は、脳の司令塔ともいわれ「集中力・注意力」「ワーキングメモリ」「考える」「判断する」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」など、高次の認知機能を司るところです。
ですから、集中力が低い人は、集中力以外の高次認知機能も低い人が多いのです。
集中力はものすごく低いけれども、それ以外の能力は極めて高い、という人はいません。
つまり本書でお伝えする「集中力を高める方法」を実践すると、集中力だけではなく、「思考力」「判断力」「記憶力」「感情コントロール力」「発想力・創造性」など、高次の脳機能をまるごとアップすることができる。一言で言うと「頭がよくなる」ということ。
2. 集中力低下の3大原因
では、集中力を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
集中力が低下するには、原因があります。まずは、その原因を除去することが必要です。
原因1 一日のリズム、疲れ
集中力は、朝が一番高くて、時間が経つにつれて低下する傾向があります。
これはほとんどすべての人に当てはまる生理的なリズムです。また、集中力にはリズムや波があります。そのリズムや波に逆らうのではなく、波に乗るように仕事をする。集中力の高い時間帯に、必要な骨太な仕事を終わらせることが大事です。
疲れているとき、集中力が下がっているときは、メールチェックのような楽な仕事をしていく、集中力の波乗りによって、仕事の効率は最大化できます。
原因2 脳疲労、ストレス
残業などが続いて慢性的な疲労が蓄積し、注意力・集中力が持続的に低下した状態になっている状態を「脳疲労」といいます。
脳疲労の状態では、精神的なストレスがかかっている場合も多く、ストレスホルモン(コルチゾール)が上がります。コルチゾールが持続的に上がると、注意力・集中力の低下に拍車がかかります。
このような状態を防ぐためには、自己洞察力を高めて「自分が疲れている」ということに、できるだけ早く気づいて、ストレスの原因に対処することが重要です。
原因3 ワーキングメモリの低下
脳の作業領域ともいわれるワーキングメモリ(作業記憶)。これが低下すると脳の作業領域が減ってしまうため、ミスやど忘れが多発します。
ワーキングメモリは、脳の情報の入り口です。そこが渋滞してしまうと、当然注意力・集中力も低下します。
ワーキングメモリ低下の原因は、原因1と2とも関わりますが、日々のストレスや疲労の蓄積です。あるいは、もともとワーキングメモリが低い人もいますが、ワーキングメモリは高められます。
集中力を高めるためには、「健康」よりも上の状態「ゾーン」に入ろう
私は脳疲労ではありません、私は健康なので大丈夫です、という人も多いかもしれません。
しかし、健康だけではパフォーマンスが高いとは言えません。今以上のパフォーマンスを発揮したい。そのために集中力を高めたい、と思っている。健康にはその上があります。それを「絶好調」と呼びます。
しかし「絶好調」で満足してはいけません。絶好調のさらにその上があるとしたら、それが「ゾーン」です。
仕事やスポーツなど、今、その瞬間に完全に集中し、普段よりも高いパフォーマンスが発揮できる、それでいて疲れ知らずで気がつくと何時間も経っていた。それが「ゾーン」です。
脳の「流れ」を改善しよう
人間の脳は、どのように情報処理をしているのでしょうか。入力→思考→整理→出力の4つのプロセスで情報処理は進みます。仕事の場合を考えてみます。
①上司に仕事の指示を受ける【入力】
②それについて、どう処理するか考える。試行錯誤する【思考】
③筋道を整理して考える【整理】
④結果をパソコンで書類にまとめて報告する【出力】
これら入力から出力までのプロセスを効率よく回すことが、仕事の効率化につながります。そして、この情報処理の4つのプロセスを流れるように行うことで、ゾーンに入ることができます。
3.絶好調の境地「ゾーン」に入る9つの方法
ゾーンに入る方法は以下となります。
1 心と体を整える
2 スマホを遠ざける
3 予定を入れない
4 物理的にきれい
5 物理的に集中しやすい環境
6 脳内がきれい
7 流れるように作業する
8 チョイ難
9 シングルタスク
1 心と体を整える
心と体が整っている「健康」よりもさらに上の「絶好調」の状態を維持することが必要です。
心と体を整える最も簡単な方法は、睡眠、運動、朝散歩です。
2 スマホを遠ざける
ゾーンに入るためには集中力を妨げる「横やり」を可能な限り減らすことが必要です。そのためには、スマホの電源をオフにしてカバンの奥にしまうことです。
私の場合は、原稿の執筆などネット環境が必要ない場合は、ネットにつながない、Wi-Fiをオフにするなど、ネット環境を遮断します。
3 予定を入れない
ゾーンとは「時間を忘れて没入する」ことです。つまり「2時間後にオンライン会議」があるとするなら、それが雑念となって、ゾーンに入りづらい。
私の場合は、丸一日、何も予定を入れなければ、高い確率でゾーンに入れます。「何時間でも没入できる」という安心感が、ゾーンに入るためには必要です。
4 物理的にきれい
机の上に「没入したい仕事」と関係のないものが、何も載っていないのがベストです。
何か載っていると、それが目に入る、つまり、雑念です。物理的な整理整頓が必要です。最低でも、机の上だけはきれいにしておくことが必要です。
私はよくシェアスペースを使います。シェアスペースに必要なものだけを持っていき、必要なものだけを机の上に並べる。最も集中しやすい環境ができあがります。
5 物理的に集中しやすい環境
周りが騒がしいと集中できません。私の場合は、カフェやシェアスペースを利用するときは「耳栓」を使います。「ノイズキャンセリング・イヤフォン」などもよいです。
電話が鳴ったり、途中で話しかけられたりすると集中力が途切れます。
6 脳内がきれい
ゾーンとは、脳内がクリーンで研ぎ澄まされた状態をできるだけ維持しながら、流れるように作業するということです。
没入したい仕事と関係のない情報はすべて「雑念」です。例えば、スマホを開けば「雑念」の嵐が吹き荒れます。とにかく「目前の仕事」以外の情報は、一切脳に入れないことです。
7 流れるように作業する
前述したように、ゾーンに入るためには、入力→思考→整理→出力の4つのプロセスを流れるように行うことが必要です。そのための強力な武器が「TO DOリスト」です。
「次に、何をしようかな」と考えた瞬間に、集中力の流れは途切れます。
8 チョイ難
自分にとって簡単な作業、難易度の低い課題では、ゾーンに入れません。かなり手強いけれども、頑張ればなんとかクリアできそう。ちょっと難しい(チョイ難)の難易度でゾーンに入ります。
ですから、簡単な仕事、毎日こなしているような平凡なルーティンワークでは、ゾーンに入りづらい。同じ仕事でも、時間を制限したり、締め切りを早めにしたりすることで難易度は高まります。
9 シングルタスク
マルチタスクでは、ゾーンに入れません。「あれも」「これも」と雑多な仕事をはさむと注意の方向が拡散するからです。
ゾーンに入りやすい職業の一つとして、「伝統工芸の職人」が挙げられます。
作業自体は様々な工程があるのでしょうが、「作品を完成させる」というシンプルな目的に向かって、流れるように作業することで「ゾーン」に入るのです。
4.本書のココがすごい!
今回紹介した、『集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法』樺沢紫苑著(SBクリエイティブ)のすごいところは下記に集約される。
①AI時代の今、どれだけスマホなどによって集中力を妨げているのか改めて実感し納得する。
②集中力は何歳からでも鍛えられる、ということで具体的にすぐに実践できる方法が紹介されている。
③集中力を高めるために、著者が実践していることが具体的に紹介されていて身近に感じる。
【著者】 樺沢紫苑
精神科医、作家。1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。
「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(2024年5月現在52.4万人)、メールマガジン(12万人)など累計100万フォロワーに情報発信をしている。
著書50冊、累計発行部数240万部のベストセラー作家。
YouTube/精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル
Instagram/kabasawa3
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