オフィス街の真ん中で「リュウゼツラン」開花目前ってマジ? 100年に1度と言われるが...専門家の見立ては

「こんなオフィス街の真ん中で...??!」

2024年5月19日、とあるXユーザーが驚きの叫びをあげた。どうも、信じられないものを見たらしい。

ポストに添えられていたのは、こんな写真だ。

「赤夏」(@akasasimi)さんの投稿より

建物の前に、何やら一段と背の高い植物が。まるで超巨大なアスパラのような......。

投稿者は、漫画家の「赤夏」(@akasasimi)さん。

ポストによると、「100年に1度しか咲かない」ともいわれるリュウゼツランを見かけ、ビックリ仰天してしまったらしい。

投稿には2万9000件を超える「いいね」が付けられ、大きな話題となっている。

リュウゼツランが生育していたオフィス街とは、いったいどこ? Jタウンネット記者は、投稿者「赤夏」さんに詳しい話を聞いてみた。

異様に成長していた竜舌蘭の花茎

投稿者「赤夏」さんによると、撮影場所は大阪府の北浜駅付近。

たまたま通りかかった北浜のオフィス街で、北浜レトロビルヂングから道路を挟み斜め向かい辺りにあるビル前の見事なドライガーデン(砂漠・乾燥地帯の植物で形成する花壇・箱庭のこと)に目を惹かれた。眺めるうちに竜舌蘭の花茎に気づいた。

「赤夏」(@akasasimi)さんの投稿より

「竜舌蘭は竜の舌の蘭という和名が気に入っており、そこからテキーラやアガベシロップが作られることも興味深く、知識として存じておりましたが花茎を目にするのは珍しく遭遇できて幸いでした」
「丁寧に手入れされたドライガーデンの各植物のなかで、竜舌蘭の花茎だけが異様に成長しているさまが生命力を感じました。 おそらく手掛けた植物業者の方にとっても思いがけない開花だと思います」(「赤夏」さん)

はたして大都会のビル街でもリュウゼツランは花を咲かせることができるのか? Jタウンネット記者は、専門家に聞いてみることにした。

7月中旬頃には咲く?

Jタウンネットの取材に応じたのは、過去にリュウゼツランの開花を確認したことがあるという、横須賀市自然・人文博物館の学芸員・山本 薫博士。山本さんは冒頭の写真を見て、こう答えた。

「写真の植物は、リュウゼツランだと思います。葉に斑がないため,アオノリュウゼツランと呼ばれるもののようにみえます」(山本 薫博士)

花は咲きそうですか? と聞くと、山本さんは「花茎が伸びると花が咲きます。7月中旬頃には咲くと思われます」ときっぱり。赤夏さん、大当たりです!

また、こんな場所でリュウゼツランが咲くのは珍しくないのか尋ねると、「植物園や公園ではよく開花していると認識しています。生育環境や栄養状態次第では開花も珍しくないと思います」。

そういえばこのところ、様々な場所でリュウゼツランが咲いた、あるいは咲きそうだというニュースを見かける。神奈川・横浜市の住宅街で、大分市の高校で、愛知・知多市の市役所で、熊本市の寺で、香川・女木島の小学校で、三重・志摩市の志摩スペイン村で、和歌山・白浜町の水族館で......。

リュウゼツランの花(photoACより)

今年は咲きやすいのか? それともたまたまなのか? 山本さんにと聞くと、「今年咲きやすい要因があるのか、たまたまなのかはわかりません」との答えだった。

果たしてこれからも、各地でリュウゼツランが花茎を伸ばしていくのだろうか?

山本さんの所属する横須賀市自然・人文博物館の公式サイト上で読める「学芸員自然と歴史のたより」によると、アオノリュウゼツランの英名は「センチュリープラント」。100年目に開花することが由来だ。日本では30~50年に一度、開花するらしいが、それでも十分長い時間である。

このオフィス街で咲くと、どんな景色を生み出すのだろう?

その貴重な開花の様子を鑑賞してみたいものだ。テキーラベースのカクテルでも飲みながら......。

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