優しさと温かさで聴衆魅了 多和田えみ公演、沖縄に恩返し 土岐麻子や手嶌葵、ナナイロノートも出演

それぞれの優しい歌声で「What a wonderful world」を歌う(右から)土岐麻子、多和田えみ、手嶌葵=5月11日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 県出身ミュージシャンの多和田えみは母の日の前日となる5月11日、「ライブカーネーション OKINAWA2024」を那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで開いた。出演はNanaironote(ナナイロノート)、土岐麻子、手嶌葵。自身でイベントを手がけ、沖縄に恩返しすることが夢だったという多和田が、優しさと温かさに包まれたライブを出演者らと共に作り上げた。

 多和田は、観客を元気づけたいという思いがひしひしと伝わる歌声を聴かせた。「君がついた溜(た)め息ひとつ 私がもらっていくよ」という詞が印象的な「涙ノ音」を観客に語りかけるように届けた。新曲「DEAR MAMA」は、フィーチャリングを務めた友人の「Hanah Spring」と、育ててもらった人へのあふれる感謝を歌った。BEGINのカバー曲「パーマ屋ゆんた」は東京で活動する多和田自身が支えられた歌。両親の顔が浮かぶかのように郷愁を誘った。

 土岐は、優しく透明感のある歌声と、シティ・ポップのしゃれた曲調がマッチした「Valentine」や「ファンタジア」などを披露した。化粧品のCMソングで知られる「Gift~あなたはマドンナ~」では、ありのままでいる女性の美しさを歌い、会場から大きな拍手が沸いた。

 手嶌は天使がささやくかのような歌声で観客を魅了した。ヒット曲「明日への手紙」を、そっと観客を勇気づけるように歌った。映画「コクリコ坂」から「朝ごはんの歌」は、朝の慌ただしさと、家族の寝起きを見ることができる母親の幸せが同居する曲で、ほほ笑ましい時間を演出した。

 最後は、多和田が「世界に生まれて(皆さんと)出会えた喜びを」と語り、土岐、手嶌とともに「What a wonderful world」を歌い上げ、観客の大きな拍手に包まれた。出演者の歌声がすっと入り込み、日常で疲れた心をほぐしてくれるようなひとときに、観客は癒やされた。

(嘉手苅友也)

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