【6月道端の有毒雑草】朝ドラ『らんまん』の牧野富太郎博士も可愛い顔に騙された?奇抜な名に隠された意味

空き地や道端で見かける植物も、調べてみると多くの興味深い事実があります。前にも調べたことがあるのですが、奇抜な名前で非常に興味深い雑草なので、開花していると、つい観察してしまうんですよね!

実は、この「ワルナスビ」という名前は、植物博士の牧野富太郎氏によって名付けられたんです。
牧野富太郎博士が、自宅に持ち帰って育ててみたら、酷い目にあったエピソードも交えて今回はご紹介したいと思います。

時を超えて、今の時代にも自生する、やんちゃで厄介者の怖い雑草なんですー!

私なりに調べたことを、まとめてご紹介させていただきますね。

■この植物は「ワルナスビ(悪茄子)」です。

アメリカ原産のナス科ナス属の多年草です。「ワルナスビ」の花は2.5cmほどの淡い紫色の花をつけます。まれに白色のものありますが、これちらは、シロバナワルナスビと呼ばれるものです。

■悪茄子の、白いお花をつけるタイプのもので、「シロバナワルナスビ(白花悪茄子)」といいます。

花の蕾と花の裏側から撮影したものです。

■別名「悪魔のトマト」「鬼茄子」「野原なすび」「荒地なすび」「ソドムのリンゴ」

別名も、『悪魔』やら『鬼』などがついているものもあって、非常に恐ろしいイメージ、ホラー映画のタイトルにもなりそうなダークなイメージの別名です。

■「ワルナスビ」という名は、NHKの朝ドラの主人公のモデルの牧野富太郎博士が命名!

大人気だったNHKの朝ドラ『らんまん』の主人公のモデルは、牧野富太郎博士です。江戸時代の終わりから明治・大正にかけて活躍した植物分類学者である牧野富太郎氏は、日本の植物を長年にわたって研究しました。

多くの植物に牧野富太郎博士が命名、その中に「ワルナスビ」もありますが、痛い目にあわされた、非常に印象的な植物として記されています。奇抜な「ワルナスビ」という命名を、牧野博士はとても気に入っていたようですよ。

■牧野富太郎先生の「植物一日一題」にワルナスビ命名のいきさつが記されています・・・

『草を珍らしいと思って、その生根を採って来て、我が圃中に植えた。

さあ事だ。それは見かけによらず悪草で、それからというものは、年を逐うてその強力な地下茎が土中深く四方に蔓こり始末におえないので、その後はこの草に愛想を尽かして根絶させようとしてその地下茎を引き除いても引き除いても切れて残り、それからまた盛んに芽出って来て今日でもまだ取り切れなく、隣りの農家の畑へも侵入するという有様。イヤハヤ困ったもんである。それでも綺麗な花が咲くとか見事な実がなるとかすればともかくだが、花も実もなんら観るに足らないヤクザものだから仕方ない、こんな草を負い込んだら災難だ。
茎は二尺内外に成長し頑丈でなく撓みやすく、それに葉とともに刺がある。互生せる葉は薄質で細毛があり、卵形あるいは楕円形で波状裂縁をなしている。花は白色微紫でジャガイモの花に似通っている一日花である。実は小さく穂になって着き、あまり冴えない柑黄色を呈してすこぶる下品に感ずる。
この始末の悪い草、何にも利用のない害草に悪るナスビとは打ってつけた佳名であると思っている。そしてその名がすこぶる奇抜だから一度聞いたら忘れっこがない・・・・。』

以上『植物一日一題』からの抜粋。

凄く大変な様子が文面から伝わってきますねー!

■「ワルナスビ」の花言葉は「欺瞞(ぎまん)」「悪戯(いたずら)」。

牧野富太郎先生の「植物一日一題」のいきさつを読み解いてみても、「欺瞞(ぎまん)」「悪戯(いたずら)」は、この植物にぴったりな花言葉ですね。

可愛い花に魅入られて育ててみたら、一杯食わされたー!!!という残念な気持ちが、言葉に秘められているようにも思えます。

開花時期は、6月~10月頃で、おしべの一部である葯(やく)は黄色で、中心に突き出しています。この突き出た葯は、くちばしのようにも見え、今にも、ピーチク、パーチクと生意気な口調で話しはじめ、仲間同士でおしゃべりを楽しみだしそうにも見えますよ。

■見た目に反して、超厄介者!他の植物を枯らし、病気を蔓延させる。

牧野富太郎博士が痛い目にあったことで知られるワルナスビは、可愛い花を咲かせるものの非常に厄介な植物です。
ワルナスビは根から他の植物の成長を阻害する物質を放出し、周囲の植物を枯らしてしまうアレロパシー作用があります。

また、ジャガイモの害虫やトマトの病気のウイルスや病原菌を媒介することもあり、ナス科の農作物の近くに生えると病害虫の被害を受けやすくなるそうですよ。

■ワルナスビは要注意外来生物(外来生物法)に指定されています。一度居座ると、その場から離れてくれない。

ワルナスビの繁殖期は6月から9月で、種からも地下茎からも増えていきます。牧野富太郎も見つけたワルナスビを自宅に持ち帰り庭に植えましたが、地下茎でどんどん増えてしまいました。

牧野富太郎博士も記されていますが、増えすぎて困ったので抜こうとしたところ、居座られてしまいました。地下茎が小さな断片からでも再生できることは脅威でもありますねー!

この強すぎる繁殖力から「ワルナスビ」と名前をつけたとのことですものね。

可愛いお花に気を許して、お家に招くと、ずーっと居座り続ける怖い特性があるんです。

超厄介なのが、地上部の見えている所を刈り取っただけではワルナスビは退治できないということなんですね。

国立環境研究所の侵入生物データベースによると、ワルナスビは要注意外来生物(外来生物法)に指定されています。

■鋭い棘もありますよ!

茎に、このような棘がたくさんついていますよ。

駆除しようとしたら、痛い目にも合いますよ。

■葉の裏側も観察してみましたよ。

「ワルナスビ」には、葉にも棘が通常はあります。

私の見かけた「シロバナワルナスビ」の葉には、目立ったトゲはなかったですね。なぜでしょうね。

■夏から秋にかけて花後に実をつけます。

果実は黄色いトマトのような実だそう。

■種は時間が経っても、発芽能力があります。

ワルナスビの1つの実には種が入っていますが、この種は時間が経った後でも、条件が良ければ芽を出して育つそうです。この場所では昨年も「シロバナワルナスビ」が開花していましたよ。

■全草に「毒」が含まれます。

「ワルナスビ」の花は、ナスやジャガイモの花にも似ています。
一見、食べられそうな感じもしますよね!

でもでも、騙されてはいけません。『毒』があるんですよ。

ジャガイモの芽に「ソラニン」という毒が含まれていることは多くの人が知っているでしょうが、ワルナスビにも同様にソラニンが含まれています。

特に実に多く含まれており、全草にわたって毒性があります。そのため、ワルナスビは食用にはなりません。絶対に食べてはいけません!

根絶できないだけでなく、棘や毒まであるなんて、『ワルナスビ』と命名したのが、納得できる植物ですねー!

コンクリートの隙間でも自生でき、すぐに花を開花させ果実を実らせて、そこにずーっと居座り続ける雑草です。お家周りで見かけたら、駆除された方が良いですよ!

でもでも、牧野富太郎博士を困らせた逸話を知れて、面白く観察でき、楽しかったですー!♪
あの時代から、時を超えて、今ここに!増やそうとしていないのに、根絶していない!厄介者は居座り続ける?ですね。

こちらの情報が誰かの助けや喜びになりますように・・・
最後まで読んでくださりありがとうございます。

■ コツ・ポイント

•鋭利な棘も隠し持っていますし、毒もあるので、お子様やペットが安易に近くに寄らないようにした方が良いですね。

暮らしニスタ/ハッピー(小寺 洋子)さん

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