Uターン夫婦、喫茶オープン 茨城・大洗の三橋さん 〝お試し出店〟経て独立

地元の常連客にサンドイッチを提供する三橋勇太さん(右)=大洗町磯浜町

茨城県大洗町にUターンした夫婦が営む本格喫茶「STREET FOOD&COFFEE TODAI(トーダイ)」が、大洗駅隣の貸し店舗で1年間の〝お試し出店〟に挑戦し、晴れて町内で独立した。自家焙煎(ばいせん)コーヒーと自家製ベーカリーが売りで、築30年の倉庫を改装した店内はレトロな薫りが漂う。店を営む三橋勇太さん(38)と妻のあずささん(35)は「地元の常連さんも増えて地域になじみつつある」と声を弾ませる。

1950年代の米国ポップスが流れる店内。雑誌やレコードが並んだ本棚を背に客が談笑する。酸味と弾力が特長のパン「サワードゥ」のサンドイッチが運ばれ、勇太さんも交ざり会話が弾む。

近所に住む宮本宗幸さん(37)は「コーヒーがおいしくて週5日は通う。夫婦の醸す雰囲気もいい」と、あずささんの手がけたサンドイッチを頬張った。

勇太さんは進学を機に大洗から上京し、バンド活動の傍ら喫茶店で修業を積んだ。店長の熟練技と本場イタリア製のエスプレッソマシンが生む一杯に心を揺さぶられ、「コーヒーの面白さにのめり込んだ」(勇太さん)という。

コロナ禍で東京暮らしに迷いを感じていた矢先、10年ほど勤めた喫茶店が閉店。希少なマシンを譲り受けて独立を決意した。渡りに船のタイミングで、大洗町が町内の創業を支援する「チャレンジショップ」を知り、2人でUターンした。

同ショップは町内で飲食店の開業を目指す人が低コストかつ期間限定で経営に挑戦する貸し店舗スペースで、大洗駅隣の好立地。2020年9月から3年間で3事業者が店を構えたが、2人の店が初めて開業にこぎ着けた。

街中に移り、普段使いする町民が増えたのがうれしい変化という。勇太さんは「こだわり抜いたメニューは特別な食体験になる。日常を忘れてくつろいで」と話している。

火曜日定休、駐車場8台。公式インスタグラムtodaioarai

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