新たなポイ活アプリ「GeoQuest」が登場。出題された場所へ行って、写真を撮って投稿するだけ~地図を作るお手伝いをしてマイルがもらえる

by 永沢 茂

デジタル地図の開発・データ整備や位置情報ソリューションを手掛けるジオテクノロジーズ株式会社は6月10日、新たなポイ活アプリ「GeoQuest(ジオクエスト)」を提供開始したと発表した。街中にあるビルやコインパーキングなどの施設が“クエスト(お題)”として提示され、その場所に行って現地の写真を撮影して投稿するとマイルがもらえる仕組み。貯めたマイルは、Amazonギフトカードや各社のポイントに交換できる。AndroidとiOSに対応しており、それぞれGoogle Play、App Storeから無料でダウンロードできる。

ユーザーからリアルタイムな情報の提供を受けることで、同社の整備する地図データへ最新情報をスピーディーに反映するのが狙いだ。一方、ユーザーにとっては、お出かけのついでに“ながらポイ活”できるとし、「撮った写真に価値がつくPhoto to Earnアプリ」をうたっている。

GeoQuestで提示されるクエストは、街中にあるビルの名称、矢印信号機、コインパーキング、EV/充電ステーション、郵便ポスト、公衆トイレなど、30種類以上の施設を対象としたもの。例えば「信号機と交差点名称の写真を撮ろう」といったクエストは、アプリの地図上で具体的な場所を指定した「調査位置指定型」のクエスト。そのほかか、「街灯の写真を撮ろう」「運送会社の営業所の写真を撮ろう」のようにジャンルのみを設定し、場所はユーザーの任意となる「ジャンル指定型」のクエストがある。

ユーザーは、提示されているクエストから対応可能なものを選び、GeoQuestのアプリで現地で撮影し、位置情報やコメントとともに投稿することでマイルが付与される。ジオテクノロジーズでは、同アプリの利用にあたって、写真撮影時には周囲の安全を確認し、周囲に迷惑がかからないよう配慮すること、私有地や建物など立ち入りが制限されているところには入らないことや、他者のプライバシーを尊重し、人の顔や車のナンバープレートなどが写り込まないよう注意を呼び掛けている。

「GeoQuest」で提示される“クエスト(お題)”の例
クエストの詳細
「調査位置指定型」のクエストは、地図で具体的な場所を確認できる。各クエストの募集数および既投稿数も表示される

付与されるマイルは1クエストあたり500~5000マイル。クエストの内容によって異なり、調査位置指定型のほうがより多くのマイルが設定される。また、クエストには募集数も設定されており、投稿の受付は先着順となる。

マイル付与のタイミングは、1)投稿直後と、2)ジオテクノロジーズによる投稿写真の内容の確認後――の2段階に分かれている。1)の「即時マイル」は、プライバシーや公序良俗的に問題ないかなどの最低限のチェックが機械的に行われたのち、投稿完了の時点で即時付与。一方、2)の「最終マイル」については、内容によっては付与されない場合があるとしている。

1人のユーザーが投稿できるのは、クエスト1カ所につき1回だけ。さらに、現時点では1日に投稿可能なクエストも5件までに制限している。これは、悪質なユーザーの不正利用や同一ユーザーからの同一情報の複数回投稿を最小限に抑えるためだ。今後、高品質な情報を投稿するユーザーに対しては投稿上限数を優遇するなどの機能追加も予定しているという。なお、1日の投稿上限に達したあとも、クエストの調査は続けることができ、その場合は調査結果を一時的に保存しておき、後日、投稿できるようになっている。

こうした制限から、現時点で1日に獲得できるマイルは、最大で2万5000マイル。交換先によって異なるが、これは250円相当のポイントになるという。ただし、貯めたマイルを他社ポイントなどに交換する際は20%が手数料として発生する。また、交換手続きには、ジオテクノロジーズが従来より提供しているポイ活アプリ「トリマ」と連携する必要がある。

交換先として対応しているのは、現金(銀行振込)、Amazonギフトカード、dポイント、Vポイント、Pontaポイント、PayPayマネーライトなど30種類以上。

自治体やインフラ事業者からクエスト提示で、市民参加型のインフラ点検ゲームへの展開も

ジオテクノロジーズはデジタル地図データを整備・更新するにあたって、道路の開通や店舗の開店/閉店などの最新情報を、日々、行政の道路設計資料や新聞/インターネットなどのメディアなどから収集。また、独自に開発した走行調査システムを用いて日本全国を車両で実走調査し、道路や標識などの情報を収集しているほか、ビルの名称やコインパーキングなどの施設については調査員が現地に行って写真撮影するなど人力での調査を行っている。近年ではAIなどの先端技術も導入して自動化・効率化を進めているものの、現実世界は日々変化しているため、あらゆる情報を収集するために多大なコストがかかっているという。

そこで同社は「より多くのリアルタイムな情報をスピーディーに地図に反映することを目指し、ユーザーから情報を投稿してもらい、お礼にマイルというかたちで還元するGeoQuestを企画し、提供開始した」としている。

さらに今後は、GeoQuestにゲーミフィケーション要素を追加し、楽しみながら情報を投稿できる機能の開発を行うとともに、このユーザー投稿型の情報収集の仕組みを行政やインフラ事業者などに向けてビジネス展開することも想定している。例えば、自治体が管理するインフラの老朽化状況や不具合などを調査したい場合、それをGeoQuestのクエストとして提示し、市民からの投稿を募ることとで、情報収集コストの削減が期待できるという。

投稿される情報の信頼性についても「市民からの投稿になるので精度も高い情報となる」と説明。ジオテクノロジーズが2023年3月、トリマのユーザーなどを対象に行った実証実験では、矢印信号機(矢印が点灯していることが条件)、EV/充電ステーション、ビルのテナントの階数表示、ビルの名称表示などの写真投稿を募った。その結果、いたずらや無関係な写真は限りなく少なく、かつ、情報として活用することが十分に可能な品質の写真が多かったとしている。「報酬が多くなくても投稿してくれる人が一定数いる」ことも指摘している。

今回提供を開始したGeoQuestとは別に、ジオテクノロジーズは今年3月、「参加型社会貢献ゲームプラットフォーム」での協働プロジェクトに関して、東京電力パワーグリッド株式会社、シンガポールのGreenway Grid Global Pte. Ltd.およびDigital Entertainment Asset Pte. Ltd.、KDDI株式会社との覚書を締結。市民が楽しみながら撮影協力できるゲームプラットフォームにおいて、インフラ事業者による活用を想定した機能拡大について検証していくとしていた。

参加型社会貢献ゲームプラットフォームのイメージ

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