オンライン面接ではカメラを見て話したほうが高評価 広島大学が検証

広島大学大学院の研究グループは、オンラインの就職面接において、受験者の視線がカメラ方向を向いていない場合、評価が大幅に低下することを明らかにした。

対面コミュニケーションや、顔写真による印象判断テストを対象とした先行研究では、視線を合わせることが好印象を与えることが示されている。しかし、オンライン通話での視線の非対称性オンライン通話に用いるノートPCやタブレットでは、多くの場合、カメラはコンピュータスクリーンの上にあり、画面に映る会話相手の顔とは位置がずれており、お互いが視線を合わせることができない。

そこで研究グループは、オンラインの就職面接において受験者の視線方向が、面接での評価にどのような影響を与えるかを検証した。

大学生12人に模擬面接をし、視線がカメラ方向(CAM条件)と画面方向(SKW条件)の2つの条件で、60~90 秒程度の短い面接映像を録画した。また、その動画から音声のみを抜き出した刺激(VO 条件)も作成した。これら3つの映像および音声を、社会人38人に視聴評価してもらった。

その結果、SKW条件の評価は、CAM条件やVO条件と比べて低い値だった。さらに追加分析により、女性の受験者や評価者では、この視線の影響が男性より顕著である可能性も示唆された。結論として、受験者の視線がカメラから外れていると否定的に評価される可能性が示された。

今回の研究から、就活生や面接をする企業はオンライン面接での視線の問題について検討しておく必要があり、技術研究者は画面上の相手の目を見ればお互いアイコンタクトできるような技術の開発により、オンラインコミュニケーションの質向上に貢献できる可能性があるとしている。

論文情報:

【Scientific Reports】Off-camera gaze decreases evaluation scores in a simulated online job interview

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