欧州議会選、中道右派が過半数確保の見通し 極右も躍進しフランスは解散総選挙へ

欧州連合(EU)加盟27カ国で6~9日、欧州議会選挙(定数720)が実施された。開票が進められており、9日夜の初期の推計速報では、中道右派の「欧州人民党(EPP)」が議席を伸ばし、第1会派を維持する見通しとなった。極右政党が議席を増やし大勝が見込まれているフランスでは、エマニュエル・マクロン大統領が議会下院の解散を発表した。

欧州議会選では、欧州各国で計約3億6000万人の有権者が新しい欧州議会議員(MEP)を選ぶ。投票率は51%と推定されており、前回2019年をわずかに上回る見通し。

9日夜の初期の開票推計などによると、欧州各国で中道右派が優勢となっており、「欧州人民党」が189議席を獲得する見込み。

同党を率いるウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、「中道は維持される」と述べ、勝利をたたえた。

一方、極右政党がフランス、イタリア、オーストリア、ドイツなどで躍進している。反対にリベラル派の政党や、環境政策に力を入れる「緑の党」などは各国で議席を減らしている。

出口調査の結果、フランスでは、マリーヌ・ル・ペン氏率いる極右「国民連合」が、マクロン大統領の与党連合に歴史的勝利を収める見通し。これを受けてマクロン氏は、国民議会(下院)を解散すると発表した。総選挙の1回目投票は今月30日、2回目は7月7日になるという。

各会派の獲得議席の見通し

開票推計などによると、欧州議会選では「欧州社会・進歩同盟(S&D)」が135議席を獲得し、大方の予想どおり、「欧州人民党(EPP)」に続く第2会派になる見通し。

一方、リベラル派の「欧州刷新」と「緑の党」はともに19議席ほど減らす見込み。

右派・極右グループの「欧州保守改革(ECR)」と「アイデンティティーと民主主義(ID)」はほぼ変わらず、それぞれ72議席と58議席を獲得するとみられている。

現時点では、EPP、ECR、IDが連立を組んでも過半数議席には届かない。一方、現在の連立の組み合わせであるEPP、S&D、「欧州刷新」を合わせると過半数に達する。

無所属の95議員がどのグループを支持するかは不明。それらの議員には、ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相の右翼政党「フィデス」や、ドイツでオラフ・ショルツ首相が率いる社会民主党に勝利した極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のメンバーらもいる。

極右と左派の動向

欧州各国で極右が躍進した。イタリアではジョルジャ・メローニ首相の極右政党「イタリアの同胞」が勝利。オーストリアでも極右政党「自由党」が僅差ながら歴史的勝利を収める見通しとなっている。

ベルギーではアレクサンダー・デ・クロー首相のリベラル派は大敗を喫したが、極右は勝利せず、右派「新フランデレン同盟」が第1党となる見込み。

左派が優勢の国も。ポルトガルでは野党「社会党」が僅差で勝利したとされている。デンマークでは「社会主義人民党緑」が、メッテ・フレデリクセン首相の与党「社会民主党」を抑えて第1党になる勢い。

(英語記事 Centre-right on course to strengthen majority in EU election, as far-right makes gains

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