TEウォーラーがジャイアンツに引退の意思を表明

ダレン・ウォーラー【NFL】

ニューヨーク・ジャイアンツのタイトエンド(TE)ダレン・ウォーラーが長く待たれていた決断を下した。ウォーラーはすでに、最後のダウンをプレーし終わったようだ。

数カ月にわたって熟考したウォーラーが、8シーズンを過ごしたNFLを引退する意向をジャイアンツに伝えた。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが状況を知る人物の話を元に、現地9日(日)に報じている。

ジャイアンツの声明には「一人の人間として、そして、一人の選手としてのダレンを、われわれは深く尊敬している。」とつづられていた。

3月にウォーラーが決断は「本当に間もなく」下すつもりだと『The Athletic(ジ・アスレチック)』のダン・ダガンに語ったときから、この件についてはウォーラー本人、そして、チームにとって保留中の事項となっていた。ウォーラーが将来について検討するようになった理由は、プレー継続に全力を注げるかという点と、長引くケガの問題だ。

決断が先延ばしにされる中、WNBA選手であるケルシー・プラムとの離婚が公になったのに続き、困惑させるような内容のミュージックビデオをリリースしていた様子からは、ウォーラーがもう戻らないのではないかとの見方が強まっていった。

プロボウルに1度選ばれたことのあるウォーラーは、ボルティモア・レイブンズ、オークランド、およびラスベガス・レイダース、ジャイアンツでプレーし、86試合でキャッチ350回、4,124レシービングヤード、タッチダウン20回をマークしている。

2023年シーズンを前にジャイアンツに加わったウォーラーは、初期に明るい兆候を見せ、クオーターバック(QB)ダニエル・ジョーンズと良い関係を築いており、その様子はプレシーズンゲームで見えていた。しかしながら、レギュラシーズンはその調子では進まず、ウォーラーは5試合に欠場し、タッチダウンは1回、キャッチ52回で552ヤードにとどまっている。

それは31歳のウォーラーが描いてきた素晴らしい物語の、あっけない終わりだった。

薬物中毒との戦いを乗り越えた感動的なストーリーの持ち主でもあるウォーラーは、2015年にレイブンズからドラフト6巡目指名を受けてNFL入りを果たした後、リーグの薬物乱用に関する規定に違反したことで、複数回の出場停止処分を受けている。戦いに勝利して戻ってきたウォーラーは、レイダース在籍中に世代でトップクラスのタイトエンドへと成長し、2020年にプロボウルに選出された。

プレーした最初の3シーズンである2015年から2018年(2017年は出場停止処分によりすべて欠場)で計タッチ18回、タッチダウン2回をマークしたウォーラーは、2019年にアメリカ全土から注目されるようになる。2018年シーズンにレイブンズからリリースされて間もなく、ウォーラーはレイダースと契約を交わすが、4試合にしか出場しなかった。

シルバー&ブラックでの2年目で、ウォーラーはキャッチ90回、1,145ヤードと、タッチダウン3回を記録。これらの活躍によって、4年3,000万ドル(約47億0,840万円)の契約がまとまった。当時のクオーターバックだったデレック・カーのお気に入りのターゲットだったウォーラーは、レイダースがラスベガスに移った初年度である2020年に輝きを見せる。この年はキャッチ107回、1,196ヤード、タッチダウン9回という数字を残した。

2021年は足首の負傷によって11試合の出場に限られるも、2022年に3年5,100万ドルで契約を延長。年額1,700万ドルは、引退を迎える今のタイミングで、タイトエンドの中でトップとなっている。

しかしながら、2022年にはハムストリングの負傷によって、レイダースで8試合にしか出場できなかった。オフシーズンが終わった段階でジャイアンツにトレードされるも、ハムストリングの問題に悩まされ続けている。

ウォーラーは今年、ジャイアンツのキャップヒット上で1,408万ドル(約22億0,963万円)を数える予定だった。ウォーラーに変わってダニエル・ベリンジャーがジャイアンツの先発TEの役割を担う見込みだ。ジャイアンツはTEジャック・ストールを迎えたほか、ドラフトでペンシルベニア州立大学のテオ・ジョンソンを指名している。

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