ジョブ型人事推進へ 政府「指針をこの夏公表」

 岸田文雄総理は新しい資本主義実現会議で、改めて三位一体の労働市場改革を行うとし、特に「ジョブ型人事」推進のため「導入範囲、等級・報酬制度、労使関係などが具体的に分かるよう整理したジョブ型人事指針をこの夏公表する」とした。

 また「個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入を進めるとともに役職定年の見直し、スタートアップに関する『裁量労働制』の運用の明確化を図る」考えを強調した。

 加えて「現場人材のスキルの評価制度を民間に作ってもらい、スキル向上に向けた支援を政府が行う官民連携制度を進めていく」と述べた。

 新しい資本主義実現会議は「実行計画の改定案」を取りまとめたが、ジョブ型人事の導入に関しては「社内・社外共に労働移動できるようにしていくことが、日本企業と日本経済の更なる成長のためにも急務であり、個々の企 業の実態に応じたジョブ型人事の導入を進める」と明記。

 改定案では「従来の我が国の雇用制度は新卒一括採用中心、異動は会社主導、企業から与えられた仕事を頑張るのが従業員であり、将来に向けたリ・スキリングが活きるかどうかは人事異動次第」と就職先事業所の社員としての位置づけから、立ち位置が変わるジョブ型人事を進めていく。

 これまでの人事制度が「従業員の意思による自律的なキャリア形成が行われにくいシステム」との考え方だ。そのうえで「個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、スキルギャップの克服に向けて、従業員が上司と相談しつつ、自ら職務やリ・スキリングの内容を選択していくジョブ型人事に移行する必要がある」などとしている。

 労働者が労働者としてのスキルを売ることになり、スキルに見合った収入が期待できる一方、会社への帰属意識、愛社精神や仕事仲間としての意識が薄れ、社外競争・社内競争の中に置かれる弊害は否めない。これまで以上に業績最優先の労働環境になりそう。(編集担当:森高龍二)

これまで以上に業績最優先の労働環境になりそう

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