即席麺 数量回復に挑む24年 コラボ・キャンペーンなど積極化

即席麺市場は、6月で価格改定の効果が一巡することから、大手各社は早期に販売数量を回復させるべく新施策に挑んでいる。日清食品は「店頭エンタメ化」や消費者キャンペーンを拡充し、東洋水産は話題性のあるコラボで需要喚起を図る。

インテージSRI+データによると、即席麺(袋麺・カップ麺)の販売食数は過去2年で約7%減少した。要因は2年連続の価格改定(22年6月、23年6月)だ。同社市場アナリストの木地利光氏は「もともと低価格が強みの一つだっただけに、複数回の値上げで割高感が出てしまい、買い控えが起きている可能性がある」と指摘する。販売金額は22年2%増、23年6%増と値上げ分で上乗せしたが、24年も増収を確保するには各メーカーが新商品やプロモーションを積極的に投入し、食数をプラス転換することが求められる。

日清食品は、スーパーなどで「店頭エンタメ化」による売場の活性化策を推進。様々なテーマで店頭を賑やかに演出する企画で、実施店舗の売上は好調に推移している。直近は5~6月に複数ブランドでキャンペーンを投入。「日清のどん兵衛」は、景品で“ふっくらおあげ”と“サクサク天ぷら”をイメージしたユニークなクッションを用意。「日清麺職人」は、同シリーズ2食を含む1千円以上の買い上げレシートで応募すると、「江戸切子」「有田焼」「西陣織」など伝統工芸品が当たる。

東洋水産は、「赤いきつね 全国味くらべ」の発売を記念しホロライブプロダクションに所属する4人のVTuberとコラボレーション。5月17日、ライブ配信で彼女らと視聴者で「赤いきつね」を同時に食べるイベントを実施した。Xのトレンドランキングで「#赤いきつね味くらべ2024」が日本で2位、世界で3位に入るなど大きな話題を呼んだ。同社は生活者との接点拡大を図るべく、今後もデジタル施策に注力する方針。

「BT21」起用の「カップスター スンドゥブチゲ味 タテビッグ」(サンヨー食品)

サンヨー食品も新規ユーザーの獲得に動く。「カップスター」ブランドで韓国発のグローバル人気キャラクター「BT21」を起用し、新商品「スンドゥブチゲ味 タテビッグ」を6月17日から、レギュラー品の限定パッケージを7月から展開する。コアターゲットは10~20代女性とBT21のファン層に設定。従来同様、乃木坂46、日向坂46とのコラボレーションを継続しつつ、より幅広い層を取り込みたい考えだ。「若い方がカップ麺を食べる機会を創出していきたい」(同社)。

エースコックは、はるさめ製品(「スープはるさめ」など)で指原莉乃プロデュースのアイドルグループ「=LOVE」とのコラボキャンペーンを5~6月に実施。コンサートチケットやオリジナルグッズが当たる企画だが、全国の有力な小売業(ローソン、イズミ、ウエルシア、ベルク、バローなど)と組み、企業別の限定ステッカーも用意した。

明星食品は「ちいかわ」とのコラボが大好評。24年春、袋麺5食パックでは3回目の限定パッケージを展開し、カップ麺はミニサイズの「チャルメラ ちいかわラーメン しょうゆ味」を新発売した。同社は「20~30代など若い世代にもユーザーの間口が広がり、リピーターになっていただけている」と手応えを話す。

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