7月3日から新しい紙幣に 世界初、動く3Dホログラムを導入して偽造防止 財務省に聞いたデザインの変更

7月3日から新紙幣の発行が始まります。デザインが変わるのは2004年以来の約20年ぶり。新紙幣の肖像となったのは渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎です。デザインの変更点や肖像に選ばれる基準など、新紙幣にまつわる疑問を財務省の担当者に聞きました。

新紙幣のデザインが決まるまで

紙幣の新たな“顔”になった3人はそれぞれ、一万円札は日本初の銀行を設立した実業家「渋沢栄一」、五千円札は津田塾大学を創立した女子教育の先駆者「津田梅子」、千円札は破傷風の治療法を開発した細菌学者「北里柴三郎」です。

紙幣の人物になるには、3つの条件があるといいます。

【紙幣の人物になる3つの条件】
・教科書に掲載されるほどの知名度、業績のある人物
・偽造を防止するために必要な精密な写真や肖像が残っている
・見た目の品格

紙幣は日常的に多くの人の目に触れるものなので、見た目の品格も重要視されるといいます。

こうした条件を踏まえて財務省と日本銀行、国立印刷局が話し合って候補を出し、最終的に財務大臣がデザインを決めています。ちなみに今回の紙幣のデザインを決めたのは、発表当時の麻生太郎財務大臣です。

外国人が見ても分かりやすい算用数字に変更

定期的に紙幣が変わる理由は、偽造を防ぐためです。新紙幣になるたび、最新の技術が加わっています。今回、大きさは変わりませんがデザインが変わります。注目したいのが数字。漢数字ではなく、算用数字が目立つ位置に配置され、大きくなりました。海外の方でも数字が見やすいようにという配慮です。

さらに新紙幣にはユニバーサルデザインが導入されています。ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、国籍、障害の有無などに関係なく誰でも利用しやすいデザインのこと。

今回の紙幣には凹凸のある11本の斜線がデザインされています。紙幣の種類によって斜線の位置が違い、目が不自由な方でも指で斜線を触ることで、何円札なのか識別できるんです。より多くの人が使いやすい紙幣になるよう配慮されています。

世界初の動く「3Dホログラム」を導入

そして新紙幣には世界初の動く「3Dホログラム」が使われています。これまでもホログラムは使われていましたが、動くのは初めて。紙幣に導入するのは世界初です。紙幣が変わるたびに高度な技術を取り入れたり、人物を変えたりして、偽造されるのを防いでいます。

ただ、これだけ高い技術を使っている分、新紙幣への対応には時間がかかります。財務省は新紙幣に対応するシステム更新について、金融機関のATMや大手コンビニ・スーパーのレジでは、新紙幣の発行前におおむね完了するとしています。

費用負担により新紙幣対応の遅れも

一方で、自動販売機や飲食店の券売機などでは対応が遅れることが見込まれています。背景にあるのが費用負担です。財務省によると、券売機などの更新にかかる費用は1台あたり10万円から数百万。中小企業や小規模事業者を対象とした補助金や費用の一部を補助する自治体もあるので、一度確認してみると良いかもしれません。

財務省の担当者は「キャッシュレス化が進む中でも、紙幣を必要とする人がいる限り、紙幣はなくならない」としたうえで、新紙幣の発行は国民の信頼を守るためにも必要だと話しています。

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