ついに「CoD」にJUMP INする時代到来 「Xbox Games Showcase 2024」詳報「Black Ops 6」から「Gears of War」まであれもこれもXbox Game Pass入り!

by 中村聖司

【Xbox Games Showcase】

6月10日2時~ 配信

Microsoftは6月10日午前2時より、「Xbox Games Showcase & Call of Duty: Black Ops 6 Direct」を配信した。筆者も、現地入りして本イベントに参加してきたので、現地の雰囲気とショウケースから見えてきた今後のXboxの戦略についてレポートしたい。

Academy Museum of Motion Picture。コミュニティエリアや、メディアインタビュー会場として使われた
Xbox Games Showcase & Call of Duty: Black Ops 6 Directが開催されたDavid Geffen Theater
メディアルームとして使われた屋上エリア。ハリウッド方面が綺麗に一望できた

Xbox Games Showcaseは、E3(Electronic Entertainment Expo)が開催されていた頃から実施されていた6月定番のXboxのプライベートイベント。例年、実質的なトップバッターを切る機会が多かったことから、その年のE3、ひいてはゲーム業界の行方を占う意味において、すこぶる高い注目を集めていたイベントだ。今年は、E3の中止に合わせて、多くのプラットフォーマーや大手メーカーがイベント開催から手を引く中、ゲームプラットフォーマーとしては唯一、例年と変わらない勢いで2時間にわたって最新タイトルをお披露目してくれた。

ただ、いくつかの変化は感じた。特徴的だったのは、Xboxの責任者を務めるフィル・スペンサー氏をはじめ、Xboxのエグゼクティブやクリエイターが登壇する機会がなかったことだ。スペンサー氏ら数人はビデオメッセージという形で登場し、その存在感は最小限に留めた。実際には彼らはその前日のXbox Mixer(メディア向けのオフレコパーティー)にはホストとして参加しており、当日も会場内に居たはずだが、今回はあえて出演しないという選択肢をとったということだ。

前方はコミュニティ専用シートになっていた
会場ではウォッチパーティーという名目になっており、参加者にはポップコーンと飲み物が配られた
Xbox Game Studios責任者のマット・ブーティ氏もビデオでの参加
Xboxのアクセシビリティ。2人交代制で絶えず手話がサポートされていた

出演を見合わせたのは2つの理由が考えられる。1つは、Activision Blizzardの買収完了と、その買収完了後に実施された組織再編の過程で発生したリストラに対して批判的な声が多く寄せられていたこと。もうひとつは、買収完了により、有力スタジオがさらに増え、紹介すべきタイトルがさらに増えてしまったことだ。全部で2時間に収めるために、彼らの登壇機会を削ったのではないか。

本来はむしろ自ら説明する良い機会だったはずだが、今の段階では何を言っても言い訳と取られ、火に油を注ぐ形になってしまう可能性もある。それよりはXboxの最大のコミットメントであるゲームそのものをたっぷり見せつけることで、新たなXboxの姿を示すことを優先したのではないかと思う。今回、その“余波”として、メディアインタビューも実施されなかったのが残念なところ。東京ゲームショウではその機会があることを期待したい。

こちらはコミュニティエリア
かなり広々としている。試遊台はなかった
ゆったり座って歓談できるスペース
参加者には、Xboxジャンパーと帽子がプレゼントされていた

さて、今回の会場となったのは、ロサンゼルス ダウンタウンから少し西にあるAcademy Museum of Motion Picture内のDavid Geffen Theater。1,000席ほどの客席の約半分ぐらいをXboxコミュニティが占め、残りをメディアと関係者が分け合う形だった。Xboxファンが過半数を占める状況下だとイベントも最初から盛り上がる。

初公開を示すワールドプレミアの文字が出る度にシュプレヒコールがあがり、トレーラーが流される度にクール!、グッジョブXboxなど、歓喜の声が挙がる。これぞオフラインイベントの醍醐味だ。

ショウケースの内容はというと、速報でもお伝えしたように、Xbox Game Studiosタイトルを筆頭に、Bethesda Game Studios、id Software、Activision、Blizzard Entertainmentといったファーストパーティースタジオの新作が目白押しだった。

トップバッターを切ったのは、予想通り「Call of Duty: Black Ops 6(CODBO6)」。それをActivisionの代表としてフィル・スペンサー氏自ら紹介する。スペンサー氏は、「COD」の月間アクティブユーザーが1億人に達することをあげながら、10月25日の発売初日からXbox Game Passに対応させることで、CODコミュニティをさらに爆発的に増加させることを約束。「COD」といえば、近年こそプレイステーションのタイトルという印象が強いが、Xbox 360の時代まではXboxタイトルという印象が強かった。スペンサー氏のこの“セレモニー”は、その時代が帰ってきたことを高らかに宣言しているようだった。

今回はビデオのみでの登壇だった
Activisionの代表として「CODBO6」を紹介

その後も「DOOM: The Dark Ages」(id Software)、「State of Decay 3」(Undead Labs)、「Starfield: Shattered Space」(Bethesda Game Studios)、「South of Midnight」(Compulsion Games)、「Avowed」(Obsidian Entertainment)、「Age of Mythology: Retold」(World Edge)、「Indiana Jones and the Great Circle」(Machine Games)、「Perfect Dark」(The Initiative)、「Fable」(Playground Games)、「Microsoft Flight Simulator 2024」(Asobo Studio)、「Gears of War: E-Day」(Coalition)と、止めどもなくファーストパーティータイトルが続く。

さらに例年ならBlizzConで公開されそうな「World of Warcraft: The War Within」や「Diablo IV: Vessel of Hatred」といったBlizzardタイトルもさりげなく登場。数えてみれば、今回発表された30タイトル中、実に17タイトルがファーストパーティーという内容だった。スペンサー氏が、メディアインタビューや自らの登壇より優先して語りたかったのは、このファーストパーティー重視の姿勢だろう。日本のゲームファンも、新旧様々なXbox傘下スタジオの名前を覚えておこう。

今回発表された30タイトル。これでもかなり絞った印象がある
かつてなく連発状態だったワールドプレミア。ファーストパーティーばかりだから当然だ
Game Pass対応も増えている

振り返ればXbox Game Passのローンチ直後は、「加入してもプレイするタイトルがない!」という声も少なくなかった。そこでXboxは、後方互換タイトルを増やしながら、ゲームメーカーの買収を重ね、途中リストラの批判を浴びながらも、気付けばあそこもここもMicrosoft Game Studiosという状況になっている。「もはやプレイするタイトルはないとは言わせない」と言わんばかりの強烈なラインナップだ。

なお、「Black Ops 6」では、ActivisionがXbox傘下入りしたことで、従来のプレイステーション独占コンテンツがなくなるだけでなく、Xbox Game Passに加入していれば、パッケージ不要で、最新、最高のコンテンツにアクセスしてキャンペーンやマルチプレイが楽しめる。今後は「Call of Duty」を楽しむならXbox Game Passと断言できる。

サードパーティータイトルも「Dragon Age: The Veilguard」(BioWare)や「Assassin's Creed Shadows」(Ubisoft)、「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」(GSC Game World)、「Atomfall」(Rebellion)など粒ぞろいだったが、個人的にはSandfall Interactiveの「Clair Obscur: Expedition 33」が特に印象に残った。

Sandfall Interactiveは、フランスパリに本拠を置く新興のゲームメーカーで、Ubisoftのクリエイターが中核戦力となっている。そのデビュー作となる「Clair Obscur: Expedition 33」は、リリースに「クラシックなJRPGとアクションにインスパイアを受け」と書くぐらい、濃厚に日本のRPGの影響が感じられる作品で、それをベースにフランスのカルチャーを随所に感じさせるファンタジー世界が描かれている。ぜひ日本のRPG好きとしてプレイしてみたいと思わせる作品だ。こちらもXbox Game Pass対応で、2025年リリース予定。

「Clair Obscur: Expedition 33」は、プレイステーションにも展開されるが、初日からXbox Game Pass対応。こういうタイトルが増えている

Xboxファンとしては、「Forza」シリーズの発表がエキスパンションも含めてなかったり、「Halo」シリーズの動きが今年もなかったのも残念だったが、Xbox Game Passを利用しているXbox/PCゲーマーとしては非常に満足できる内容だった。

最後の新型機のサプライズは、ハイスペックな新型機や携帯型ゲーム機といった様々な予想があった中では、もっとも大人しめの発表と言っていい。筆者のように初期モデルを愛用しているゲームファンにとっては、もう丸4年が経過しようとしており、買い換えの良い機会になるかもしれないし、「CODBO6」のXbox Game Pass対応を聞いて新たにXboxにJUMP INしようとしているゲームファンは、ディスクレスのオールデジタル仕様が良いだろう。円安の影響で価格がどうなるのかだけが心配だが、Xbox界隈は、今年のホリデーシーズンは、例年以上に盛り上がることは間違いなさそうだ。

既存筐体を活用した新型モデル。日本ではパッケージはあまり流通していないため、オールデジタル版のXbox Series Xはかなり使い勝手が良さそうだ

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