毛玉かと思ったらがん!? 猫のがんの早期発見に大切なこととは

健康そうに見える愛猫が、じつは病気に侵されていた……ということもあるかもしれません。病気を早期発見し治療につなげるには、異変にいち早く気付いて受診することが大切です。今回は、些細な異変から悪性腫瘍が見つかった飼い主さんのエピソードをもとに、獣医師の重本仁先生にお話を伺いました。

ブラッシング中に毛玉のような塊に触れて受診したら、悪性腫瘍だった

参考・写真/「ねこのきもち」2024年5月号『飼い主さん、グッジョブ! 些細なことで受診したら、愛猫に病気が見つかりました。』

パセリちゃん(メス・8才/アメリカンショートヘアー ※診断を受けたのは6カ月齢当時)の飼い主さん・Kさんは、パセリちゃんのブラッシング中に、背中の皮膚に毛玉のような感触の塊があることに気付きました。かかりつけ医に相談して病理検査を受けることになり、避妊手術を間近に予定していたので、そのタイミングで塊も摘出しました。

病理検査の結果、まさかの悪性腫瘍であったことが発覚。その後、2~3カ月ごとに受けているレントゲン検査で転移は見られず、5年経過した時点で心配なしと告げられました。

「あのとき、『ただの毛玉』と見過ごさず、早期発見できてよかったです」と飼い主さん。現在は年に1回健康診断を受け、異変があれば受診しているそうです。

体を触る健康チェックは早期発見の第一歩

イラスト/こさかいずみ 「ねこのきもち」2024年5月号『飼い主さん、グッジョブ! 些細なことで受診したら、愛猫に病気が見つかりました。』

重本先生:
「悪性腫瘍(がん)は異常な細胞が増える病気で、あらゆる部位にできる可能性があります。パセリちゃんのような子猫が患うのはめずらしいですが、早く気付いたことが寛解(症状がほぼ消失した状態)につながったのでしょう。腫瘍に限らず、病気の早期発見には、飼い主さんが体を触って日々チェックすることが大切です」

ふだんと違うと思ったら迷わず受診を

引用元:rai/gettyimages

――些細なことで、動物病院を受診するかどうか悩む飼い主さんもいますが、多忙な獣医さんの迷惑になるものなのでしょうか?

重本先生:
「いいえ、大事になってから受診されるよりも助かります。飼い主さんでは判断が難しいこともあるでしょうが、“ふだんと違うかも”と気になったら、些細なことでも愛猫を連れてきてください」

些細なことと思っても自己判断せず受診することで、意外な病気が見つかる場合もあります。ふだんから愛猫の体に触れて観察し、いつもと違うと感じることがあれば、かかりつけ医に相談しましょう。

お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考・写真/「ねこのきもち」2024年5月号『飼い主さん、グッジョブ! 些細なことで受診したら、愛猫に病気が見つかりました。』
イラスト/こさかいずみ
文/小林けい
※記事と写真に関連性がない場合もあります。

© 株式会社ベネッセコーポレーション