【J2「前半戦終了」】仙台、郷家の豪快ヘッド先制点もドロー 首位まで勝点10…後半戦へ森山監督「一戦一戦がプレーオフ」(2)

郷家友太の豪快なヘディングゴールで先制した仙台だったが……  撮影/中地拓也

■郷家のシーズン初弾で仙台が先制!!

勝ち切れなかった。

J2リーグ第19節が6月8、9日に開催され、8日、4位のベガルタ仙台は12位のヴァンフォーレ甲府とアウェイで対戦した。仙台にとっては過去5戦負けなし、敵地では2連勝中と相性のいいカードだ。

仙台は出場停止明けのMF長澤和輝がダブルボランチの一角に戻り、2列目左サイドにはMF相良竜之介が2試合ぶりのスタメンに名を連ねる。前節は右MFに郷家友太、2トップにオナイウ情滋の立ち位置だったが、今節はオナイウが右サイド、郷家がFW中島元彦と2トップを組む。

試合序盤に甲府がアクシデントに見舞われる。3-4-2-1の左CBに入ったヘナト・アウグストが、負傷交代を強いられたのである。甲府は選手交代とともに、3バックとウイングバックの立ち位置を変える。ホームチームは予期せぬ選手交代の影響を最小限に抑えたが、仙台が18分に試合を動かす。

仙台の左CB菅田真啓が、守備時は5-4-1となる甲府の「4」の背中へ、縦パスを刺し込む。これを郷家がフリーで受け、右サイドへ展開する。縦へ仕掛けたオナイウのクロスを、ゴール前へ走り込んだ郷家が豪快なヘディングで突き刺した。郷家は前半戦のラストゲームで待望のシーズン初ゴールだ。

その後もオナイウとSB真瀬拓海が構成する右サイドが、仙台のストロングポイントとなっていく。しかし30分、右CB小出悠太がトラップミスでボールを失い、甲府MFアダイウトンに持ち込まれる。小出と真瀬が必死に止めようとするが、ペナルティエリ内へ侵入され、切り返しから右足シュートを叩き込まれる。アダイウトンに質的優位を見せつけられ、同点に持ち込まれてしまった。

■相手ゴールへ迫るも勝ち越し点は奪えず…

仙台の森山佳郎監督が、この日最初の交代カードを切ったのは60分だった。1対1のまま推移していくなかで、相良を下げてMF名願斗哉がピッチに立つ。70分にはオナイウを下げ、MF鎌田大夢が出場する。システムは4-4-2のままだが、鎌田は右サイドに張らずに内側へ立ち、真瀬が右外のレーンを使い、ボランチの松井蓮之が2トップを追い越していく。松井や真瀬がポケットを取ることで相手の守備に不確実性を生み出し、仙台はラスト15分の主導権を握り続けた。

84分には小出と中島が退き、DF内田裕斗とFW中山仁斗がピッチに立つ。内田は左SBに入り、左SBだった高田椋汰が右CBにまわった。中山は郷家と2トップを組む。

89分に相手GKのパントキックから、ペナルティエリア内で決定的なシュートを許す。ここはGK林彰洋が2連続セーブで失点を許さない。

連勝を目ざす仙台も、3連敗中の甲府も勝ちたい試合だったが、チャンスの数はほぼ同じで、1対1という結果は妥当なものだっただろう。

J2リーグは今節で19節を終え、前半戦を終了した。仙台は勝点33の4位での折り返しとなる。首位の清水エスパルスとは勝点10差だ。2位のV・ファーレン長崎とは勝点6差だが、長崎は消化試合数がひとつ少ない。

9勝のうち8勝は1点差と、前半戦は際どい試合の連続だった。試合後のフラッシュインタビューに応じた森山監督も、後半戦へ向けてこう話している。

「楽な試合はひとつもないので、粘っていくなかでいかに勝点を持っていけるか。そこはどのチームも同じ。一戦一戦がプレーオフの気持ちで頑張っていきます」

次節は2位のV・ファーレン長崎をホームに迎え撃つ。J1自動昇格圏との勝点差を縮めるために、絶対に落とせない一戦となる。

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