映画『フェラーリ』マイケル・マン監督と振り返る完成までの波乱万丈なストーリー

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フェラーリ社の創始者エンツォ・フェラーリの激動の1年を描く衝撃の実話『フェラーリ』が、7月5日(金) より全国公開される。

本作の監督を務めたのは、『ヒート』や『インサイダー』『コラテラル』などで知られ、最近では90年代の日本を舞台にしたドラマシリーズ『TOKYO VICE』も記憶に新しいマイケル・マン。エンツォの人生同様に波乱万丈な製作秘話を監督のコメントと共に振り返る。

『フェラーリ』の製作がスタートしたのは、今からおよそ30年前。原作本『エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像』が、1991年に出版されて間もなくの頃だった。元々マン監督は、『愛と悲しみの果て』(1985) で第58回アカデミー賞作品賞を受賞したシドニー・ポラック監督と、2003年にハリウッドでリメイク版も作られた『ミニミニ大作戦』(1969) の脚本を務めたトロイ・ケネディ・マーティンと協働して、『…跳ね馬の肖像』を脚色しようと進めていたが、資金調達に難航。マン監督は「アメリカの市場では、レース映画は儲からないと考えられていた。小さなインディペンデント映画として、2,500~3,000万ドルで作ることはできたが、『フェラーリ』はそのように作られるべきではなかった」と当時を振り返っている。

そして、2008年にシドニー・ポラックが、翌2009年にはトロイ・ケネディ・マーティンが死去し、再び暗雲が立ち込める。主演俳優もなかなか決まらず、2015年にはクリスチャン・ベールが、2017年にはヒュー・ジャックマンがエンツォ役にキャスティングされたと報道されるも、いずれも実現には至らなかった。

しかし2019年、Netflixのオリジナルドキュメンタリー『Formula 1:栄光のグランプリ』が配信されたことで製作が軌道に乗る。「F1がアメリカでアピールされるようになったのはここ4、5年のことで、Netflixの『Formula 1:栄光のグランプリ』のおかげなんだ」と、感謝を表すマン監督は「今こそやるべきだと思った」と脚本の修正に取り掛かる。マン監督のほか、アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリー、そしてプロデューサーなど、作品に関わったメンバーは自分たちの報酬を削ってでも製作を進めたそうだ。

マン監督が長年エンツォ・フェラーリの物語に魅了されてきた理由は、彼の“類稀なる人生”だと話す。「エンツォの人生にはバランスや安定というものがないが、それがエンツォ・フェラーリの真骨頂だ。エンツォは工場やレースに関しては、常に正確で論理的で合理的だった。しかし私生活は、衝動的で防衛的、扇情的で秩序のないものだった。このアンバランス感や矛盾こそが、エンツォや他の登場人物たちを人間味あふれる存在にしているんだ」と語っている。

<作品情報>
『フェラーリ』

7月5日(金) 全国公開

公式サイト:
https://www.ferrari-movie.jp

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