「物価に加え水道は苦しい」 愛知・瀬戸市で下水道使用料値上げへ 飲食店からは不安の声

テレビ愛知

私たちの生活に必要不可欠な「水道」。この「水道」にも今、値上げの波が押し寄せています。

10日、瀬戸市議会で開会した6月議会。今回、市から提出された議案の一つが、2025年3月以降に水道代を値上げする改正案です。

瀬戸市の下水道使用料は現在、1カ月あたり10立方メートルまでは基本料金825円です。改正案では10立方メートル以下でも基本料金に加え、使用した量に応じて1立方メートルあたり22円から55円が追加されます。また10立方メートルを超えた使用量の追加料金も値上がりします。

例えば3人家族の一般的な1カ月の使用量・20立方メートルの場合、値上げ後の金額は値上げ前のおよそ1.4倍です。

「電気とガスも上がっているので厳しい」 市民からは悲鳴も

背景にあるのは「赤字続き」の下水道事業です。

瀬戸市下水道課 鈴木和宏課長:
「各家庭の汚れた水が下水管を通って集まってきています」

市内に2カ所ある浄化センター。微生物や薬剤などで汚水をきれいにしています。施設は24時間365日稼働していて、常に2人程度が監視や点検に当たっています。

瀬戸市下水道課 鈴木課長:
「運営にかかる人件費、薬品費、電気代。(市民に)使用料金で負担いただくべき費用で賄えていない」

市によりますと、2022年度の1年間で汚水の処理にかかった費用は11億円弱。しかし、市民から回収したのは7億円弱で、回収率は65%を切っています。値上げによって経営の安定化を図りたい考えです。

市民は…

瀬戸市民:
「電気とガス(の料金)もかなり上がっているので、うちとしては厳しい」

瀬戸市民:
「子どもが庭でプール(遊び)をする。(水道代が)高いと困りますね。庭を池みたいにしてるよね。(水を)勝手に出して…高くなると困るな」

飲食店からも心配の声が…。名物の瀬戸焼きそばのほか、将棋の藤井聡太八冠を応援するメニューなどで人気の喫茶店です。油のついたフライパンや食器を洗うため、昼どきは水を出し続けることもしばしば。

喫茶店の店員:
「洗いものが多い。油ものは特に水道を使う。(値上げは)不安ですよね」

この店では、直近2カ月分の下水道使用料は1万750円でした。値上げされれば、3000円以上負担が増えることに。すでに節約はしているといいますが…。

喫茶店の店員:
「人件費を減らそうと朝10時まで1人で(店を)やっている。物(の値段)が上がって、今度は水道。どうしたらいいんでしょうね。かなり苦しいです」

実は県内各地でも水道代の値上げは相次いでいます。2024年、すでに豊田市、愛西市、田原市、美浜町で値上がりしました。また8月には新城市で、10月には一宮市でも値上げが予定されていて、家計の負担は増加しそうです。

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