カーター元米大統領も乗船 クルーズ船「銀河」年内で運航終了 広島市の瀬戸内海汽船が発表

年内で運航を終えるクルーズ船の銀河

 瀬戸内海汽船(広島市南区)は10日、クルーズ船の銀河(602トン)の運航を年内で終えると発表した。1984年4月に就航し、40年間で延べ約100万人が利用してきたが、老朽化が進み、修理用の部品の調達が難しくなった。燃料価格の高騰や新型コロナウイルス禍に伴う乗客の減少も響いた。

 銀河は全長58メートルで、最大定員は400人。本州と四国を結ぶ橋の建設計画が進む中、本四航路以外の収益源や、瀬戸内海の観光資源を開拓する目的で造った。ランチクルーズとディナークルーズが中心で、観光客や市民に親しまれた。花火大会などに合わせた企画クルーズや、結婚式や企業の忘年会など貸切の利用もあった。

 歴史的な会合の舞台にもなった。84年5月に来日し、広島県を訪れたジミー・カーター元米大統領を招いた夕食会や、2016年の先進7カ国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)を前に同年4月に広島市であった広島外相会合でも使われた。

 銀河の船員や調理員など約20人の乗務員は、可能な限りグループ内で配置転換する。今後は観光高速船「シースピカ」やクルーズフェリー「シーパセオ」などを使う船旅を提案する。ただ、本格的な食事を提供できるのは銀河だけで、同社は「機会があれば食事を含めた船旅の楽しさの提供に再挑戦したい」としている。

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