「アンメット」若葉竜也“三瓶先生”涙の芝居がリアルすぎて衝撃

第9話より若葉竜也演じる三瓶先生

杉咲花主演のカンテレ・フジテレビ系4月期ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(毎週月曜よる10時~)で変わり者の天才脳外科医・三瓶友治を演じる若葉竜也。初回でグミを手に登場したときから「ハマリ役」と視聴者をわしづかみにしてきた若葉だが、10話放送の第9話ではその真骨頂ともいえる名演で魅了。SNSでは涙の感想であふれていた。

冒頭、綾野(岡山天音)と麻衣(生田絵梨花)のスピード入籍&綾野病院と丘陵セントラル病院の法人合併というダブルの朗報によりSNSに祝福の声で沸いた第9話。一方で、ミヤビ(杉咲花)がある人物と偶然出会い得体のしれない恐怖を感じたことを皮切りに、三瓶が最も知りたかったミヤビの記憶障害の本当の原因へと近づいていくさまが描かれた。そのカギを握るのが、関東医科大学病院の大迫教授(井浦新)。グループの会長である西島(酒向芳)との黒い癒着も疑われる大迫教授だったが、彼がミヤビに打ち明けた真実は意外なものだった。

視聴者の涙を誘ったのは病院で二人きりになったミヤビと三瓶を巡るラスト10分の展開。三瓶が大迫教授に会いに行ったミヤビに何を話したのかと問うと、三瓶が帝都医大をやめたときのことを聞いたと言い、鞄からラムネを取り出して三瓶へ。三瓶がお返しにとグミを渡すと「これずっと好きなんですか?」と問うミヤビ。「好きではないですね」とボソリ答える三瓶に、ミヤビは「じゃあ何が好きなんですか?」「近所に駄菓子屋さんとかなかったですか?」「あんまりいかなかったですか?」「放課後何してたんですか?」と次々に質問を投げかけ、いつになく饒舌だ。三瓶は「何か、蟻見てたりしてましたけど……」と答え、ここまではいつもの微笑ましいトークに見えたが、三瓶が兄の話を始めたことからトーンが一変。

三瓶には三つ年上の兄がおり、ミヤビが「今は何しているんですか?」と問うと兄はすでに亡くなっていることが判明。三瓶はミヤビを心配させまいとしているのか「全然……」と何でもないふりをしようとしながらもくるりと背を向け、「すみません……」と再び振り向いたときには涙を流していた。そこから兄が重度障害者だったこと、三瓶が8歳のときに施設に入ったことをポツリポツリと語り出した。彼は声を震わせながら「僕も含め、障害者施設を勧めた人たちも僕も、家族もみなそれが最善だと思っていたんですけど兄はずっと泣いてて……。世の中も僕も兄のためって言いながら、ただ遠くに見えないようにしていただけなのかもしれないなと思いますね」と考えを巡らせ、かつて自身が救えなかった命を思い返しながら「なおちゃんのことも今も正解かどうかわからなくて……いろいろ頑張ったんですけど、僕はまだ光を見つけられていません」と苦しそうに顔をゆがめた。

じっと彼の話を聞いていたミヤビは「私だったらうれしかったと思います。もし聞こえていたんだとしたらちゃんと聞こえているよって言いたかったんじゃないかな」と優しく穏やかに言葉を紡ぎ、目に涙をためた三瓶に「自分の中にあったらいいんじゃないですかね。そしたら多分、暗闇も明るく見えると思います」と励ました。その時三瓶が思い浮かべたのは、まだミヤビが記憶を失う前に「こうすると、影が消えます。光があったら暗闇も明るく見えるんじゃないかなあって」と話していた姿だった。

しばし間が空いたのち、「川内先生…」「三瓶先生…」と互いの名を呼び合い、三瓶は「三瓶先生は私のことを灯してくれました」というミヤビの胸に頬をうずめ、ミヤビもボロボロ涙をこぼしながら彼を抱きしめる……という流れだった。

前の場面では、大迫教授がミヤビに救いのない事実を打ち明けていた。ミヤビの記憶障害の原因は“ノーマンズランド”という人がメスを入れてはならない領域にあり、三瓶が淡い期待に懸けてそこに触れればミヤビの命が危うくなるという。一方、ミヤビのある記憶を葬りたい西島会長は「君なら助けてあげられんじゃないかなあ」と三瓶に危険な手術を持ち掛けていた。

これまでも話数を重ねるごとに、時折「恋人同士」の顔を見せるミヤビと三瓶の切なくもどかしい関係が注目を浴びてきたが、本エピソードではクライマックスの若葉竜也の演技が「演技に見えない」と話題沸騰。「ナチュラルすぎてセリフかアドリブかわからん」「こんなん泣いちゃう」「号泣」「ドキュメンタリー見ているよう」「芝居か、これは?」「若葉くん凄くないか…」「若葉竜也ってすごいな」と圧倒される視聴者の声が相次いだ。

しかし……さらに視聴者を驚かせたのがその後の数秒の展開。誰もこの二人の間に入ることはできない、そう感じさせるほど強い絆が芽生えた瞬間、ミヤビが三瓶に信じがたい一言を放つところで幕を閉じ、視聴者はいったい何が起きているのかと大混乱。「ええー!」「このタイミングで」「うそだ…」「待って…」「なんて終わり方」「なんて残酷」「うそだと言って」と悲痛の声が後を絶たない。

放送後、タイトルがXのトレンド1位となったほか三瓶先生、ミヤビちゃん、大迫教授など複数の関連ワードがランクイン。ゲスト出演した池脇千鶴はテレビドラマへの出演は2021年の「その女、ジルバ」以来とあって久々の姿が注目を浴びた。(石川友里恵)

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