能登半島地震/政府検証チームが応急対応点検、高性能ドローン実装を

能登半島地震の応急対応を巡る政府の検証チームは10日、点検リポートと、次の災害に有効な新技術・方策をまとめ、同日官邸で開かれた能登半島地震復旧・復興支援本部(本部長・岸田文雄首相)に報告した。高性能ドローンの開発・活用や、公共工事の「快適トイレ」の標準化、遠隔操縦式バックホウの活用などを進める。役立った技術や物品をカタログに掲載し、地方自治体などに周知する。
点検リポートは半島の地理的特性、高い高齢化率と低い耐震化率、限られた交通ルート、元日夕方の発生といった災害の特徴を整理。課題に▽情報把握▽進入・活動▽支援活動拠点▽積雪寒冷対策▽インフラ・ライフライン復旧-の五つを挙げ、過疎地域の多数の要配慮者への影響も懸念した。
その上で情報収集など分野ごとに今後の備えを列挙した。快適トイレを標準化しておくことで災害時にトイレを容易に供給したり、高度道路交通システム(ITS)スポットの配備を進め、道路通行の可否を迅速に把握したりする。ドローンは状況把握や被害認定に役立つため、夜間・悪天候や長時間の飛行が可能な機体の実装を急ぐ。
衛星や空中写真からの地殻変動と土砂災害発生箇所の抽出、自衛隊と連携した重機輸送、災害を想定した道路啓開計画の策定なども進める。遠隔操縦式バックホウは安全性が確認できない現場での利用を想定した。上下水道一体の応急復旧や、照明車・散水車の給電・給水利用の体制も整える。
カタログには無人ロボット、遠隔化・自動化技術、トイレカーなどを収録した。自治体には、支援拠点の設置場所など非常時の対応を可視化するよう求める。
会合で岸田首相は、新技術について「関係省庁の実装、自治体などの活用、国や民間の技術開発を加速させてほしい」と話した。予備費を追加する考えも示した。

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