海建協会員/23年度海外受注11・8%増の2・3兆円と過去最高、北米などで増加

海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)がまとめた会員企業52社の2023年度海外建設受注実績は、前年度比11・8%増の2兆2907億円となった。19年度(2兆0570億円)を超えて過去最高を更新した。北米のインフラ、東欧の自動車工場、大洋州の住宅といった主要地域の建設需要を取り込み、受注増につなげた。24年度は円安やウクライナ戦争といった不安要素がある中でも、引き続き堅調な受注を見込むとしている。
受注実績の内訳は日本の企業本体(本邦法人)が39・4%減の4122億円、現地法人が37・3%増の1兆8784億円。8地域別の受注実績は、多い順に▽アジア=1兆0235億円(前年度比9・0%減)▽北米=7878億円(17・9%増)▽大洋州=2094億円(143・8%増)▽東欧=1554億円(104・2%増)▽アフリカ=500億円(79・5%増)▽中南米=431億円(9・0%増)▽中東・北アフリカ=171億円(2・1%減)▽欧州=41億円(53・3%減)。
国・地域別では米国(7172億円)、シンガポール(2557億円)、台湾(2046億円)の順に高かった。上位10カ国・地域はほぼ前年と同じだったが、今回8位にスロバキアが新たにランクインした。
全体の4割超を占めるアジアは政府開発援助(ODA)の減少に伴い受注額も減少した。大型案件が22年度に終了したことで23年度が端境期となった。次にシェアの大きい北米は港湾と病院建設の大型案件が増加に寄与した。
大洋州と東欧はいずれも前年度と比べ倍増した。大洋州はオーストラリアで大型の集合住宅を受注。東欧は欧州全体での急速な電気自動車(EV)化を背景に、EV関連の自動車工場などを受注した。
7日に東京都内で記者会見した首藤祐司前専務理事は、24年度の見通しについて「ウクライナなど地政学的な要因や為替の問題などを踏まえると、先行きは非常に不確実」とした上で、北米の大型公共事業や東欧の自動車工場建設といった建設需要に会員企業が対応していることから、「ある程度の伸びは期待できる」との考えを示した。

© 日刊建設工業新聞社