【Hothotレビュー】忍者のようにあらゆる場所に忍ばせられるミニPCが使いたい。小さいは正義な「mouse CA-A5A01」はどうか?

by 竹内 亮介

mouse CA-A5A01

持ち運んで利用する機会があるわけでもないし、好きな液晶モニターを使いたいのでノートPCは選びたくない。かと言ってゲームを頻繁にプレイするわけではないので、大型のタワータイプは置きたくない。

そんなビジネス用途中心のユーザーに「ちょうど良いデスクトップPC」っていないものだろうか……? と悩んでいる人におすすめなのが、今回紹介するマウスコンピューターの「mouse CA-A5A01」だ。

薄型でコンパクトな筐体なので好きな場所に設置でき、VESAマウンタを使えば液晶モニターなどの背面にすっきりと収めることが可能。搭載するCPUは6コア12スレッド対応のノートP向けCPUであり、コンパクトでも十分な性能をサポートする。今回はそんな「ちょうど良い小型デスクトップPC」の使いやすさを、さまざまな面から検証していこう。

薄型で置き場所を選ばない小型PC

mouse CA-A5A01は、薄型でコンパクトな「CA」シリーズの新モデルだ。搭載するCPUは、AMDのノートPC向けCPUとなる「Ryzen 5 7530U」。これはCPUコアに「Zen 3」アーキテクチャ、GPUコアに「VEGA」アーキテクチャを組み合わせたもので、最新CPUと比べると世代が古く、性能ではやや劣る場面もある。しかし、「小さい」ということがメリットとして働く場面は意外と多い。

たとえばテレワークは働き方の1つとして現状広く普及した感があるが、当然だが自宅にちゃんと使えるレベルのPCやその作業環境を構築する必要がある。だからと言って自宅にあるリビングやデスクの広い領域を、自分の仕事専用に占有し続けられるユーザーは少ないだろう。

今までデスクトップPCを使ってきたユーザーなら、仕事の作業効率を維持するためには大型液晶モニターは必須であり、なんとかそこだけは同居人には我慢してもらうとなると、PCは小さいものにせざるを得ない。

本体の幅は2.8cm、下部に7.3cm幅の細長いスタンドを設置して縦置きで利用する
きちんと風の通る環境なら、本棚のような場所に挿し込むようにして設置するのも良いだろう

そこでおすすめなのがmouse CA-A5A01のような小型PCだ。スタンドを使って縦置きにした状態では幅7.3cm、奥行き15.3cm、高さは21.9cmというコンパクトでスリムなデザインを採用する。前述の大型液晶モニターとスピーカー、あるいは書類スタンドや棚との隙間に置いても良いし、液晶モニター裏にちょっとだけスペースを作って設置するのも良いだろう。

吸気口は、縦置き状態だと下部、排気口は上部になり、動作中はほんわかと暖かい空気が上に流れてくる。こうしたエアフローなので、スタンドを付ければ下部の吸気スペースは十分確保できるし、上部の排気口を書類などでふさがないようにすれば良い。

アイドル中でもやや暖かい空気が出てくるので、上部の排気口はふさがないように注意したい
ACアダプタ自体もコンパクトなので、PCと一緒に置いてもジャマになりにくい

VESAマウンタも活用しよう

付属するVESAマウントキットを使えば、液晶モニターや一部の液晶TVが装備するVESAマウンタを利用し、背面に固定することも可能だ。筆者的に特におすすめしたいのが、VESAマウンタを装備する液晶TVとの組み合わせである。

24~32型の中型サイズを採用する液晶TVの一部モデルでは、壁かけ設置用にVESAマウンタを装備していることがある。このVESAマウンタを使ってmouse CA-A5A01をTVの裏側に付ければ、いわば「設置スペースなし」でPCを利用できる。キーボードやマウスをワイヤレスタイプにすれば、仕事を始める準備や終わった後の片付けもすぐに終わる。

付属のVESAマウントキット
VESAマウントキットを液晶モニター背面のVESAマウンタに固定し、VESAマウントキットのフレームにmouse CA-A5A01を固定する

液晶モニターを置いたスペースを、簡単にテレワーク用スペースにできるということだ。ただし40型以上で国内メーカー製の大型液晶TVだと、VESAマウンタではなく独自の壁かけ機能を利用するタイプが多いので、マニュアルで対応状況をよく確認したい。

付属のマウスとキーボードはワイヤレスで利用できるタイプなので、こうした利用法に向いている

インターフェイスは古いのも含めて結構豊富

最近のPCとしては珍しく、映像出力端子としてミニD-Sub 15ピンを搭載することにも注目したい。最新の環境で使うならあまり意味がないようにも思えるが、会社で使われているプロジェクタの中には、まだミニD-Sub 15ピンの入力端子しか装備していないモデルも多い。

背面の映像出力端子は、HDMIとミニD-Sub 15ピンの2系統。そのほかUSB 5GbpsポートやGigabit Ethernetポートなど備える

しかしこうしたプロジェクタにも変換アダプタなどを用意せずに接続でき、プレゼンテーションをスムーズに行なえる。サイズが小さいので、そういったプロジェクタの近くに設置する専用PCとして使うのも良いだろう。また軽くて持ち運びが容易なので、自宅やオフィスなどmouse CA-A5A01を利用している環境から持ち込むのも簡単に行なえる。

このほかのインターフェイスとしては、前面にSDカードスロットを装備する。USB接続のメモリカードスロットを別途用意することなく、デジタルカメラで撮影した動画や静止画データをすばやくPCに取り込めるのは便利だ。

特に仕事では「スマホでちゃちゃっと撮影して対応する」というわけにいかないことも多いので、ビジネスで使うPCならデジタルカメラを使いやすくするこうした機能はあったほうが良い。

前面にはUSB 5GbpsのAコネクタやCコネクタ、USB 2.0ポート、SDカードスロットを備える

このクラスのCPUを搭載するミニPCは何度も性能検証をしており、その感覚で言うと現行モデルの中ではミドルローといったところだ。ただ、だからと言って使いにくいということはまったくなく、Windows 11や各種アプリの起動、挙動などはキビキビとしている。

書類作成やWebブラウズ、音楽再生や各種動画配信サイトの利用など軽作業中心の業務内容なら、問題が発生することはまずないだろう。メモリを32GB搭載しているため、大容量のファイルも快適に扱える。

小型PCとしてはメモリ容量は32GBと多めで、動作はキビキビと快適

目安として、よく利用されるアプリを実行して性能を検証できる「PCMark 10」を実行したときの結果は下記の通りだ。総合Scoreは4,000台半ばで、ビデオカードを搭載しないPCの中では平均的な数値だ。一方でWindows 11の使用感や軽作業に関するEssentialsやProductivityの数値は、上位CPUを搭載するモデルとほぼ同等であり、上記の軽作業に関する使用感を裏付ける結果となった。

PCMark 10

大画面液晶モニターは絶対欲しいというアナタに

テレワークで使うなら作業環境がシンプルにまとまるノートPCのほうがいいじゃないか、という意見も分かる。しかし大画面液晶モニターに表示できるウィンドウの数、情報量の多さ、文字サイズの大きさを考えれば、じっくり仕事をするならデスクトップPCでないと無理、という人は多いだろう。筆者もその1人だ。

そうしたユーザーに対して、1つの回答となるのが本機を代表とする小型PCだ。小ささや内部のエアフローを生かし、さまざまな利用シーンを演出する仕掛けを設けていることにも好感を持った。

文中でも述べた通り最小限の設置面積でテレワーク用の環境を整えたいビジネスマンは当然だが、ワンルームマンションなど、狭い環境でTVとPCの両方を利用したい学生さんにも向いている、なかなか便利なPCだ。

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