聴覚過敏の人も安心してショーを マリンワールドが15日に「静かな水族館」 マイクや音楽使わず演出

イルカショーでパネルを使って観客に伝えるスタッフ
BGMやマイクを使わずイルカショーを演出するスタッフ
イルカの呼吸や水しぶきの音が館内に響いた
BGMやマイクを使わずイルカショーを進行するスタッフ
イルカの呼吸や水しぶきの音が館内に響いた

大きな音が苦手な聴覚過敏の人も安心して鑑賞できるよう、福岡市東区西戸崎の水族館「マリンワールド海の中道」が15日午後6時~9時、音楽やマイクを使用しない「聞いて、見て~音を感じる水族館」を初めて実施する。「静かな環境で生き物の声や水の音を楽しんでほしい」と企画した。

きっかけは同館に寄せられた、聴覚過敏の子どもを持つ来場者の声だった。イルカショーの音楽やマイクを使った華やかな演出に対し、「娘はどうしても体に力が入って萎縮してしまう」との内容だった。

手話を学ぶ営業担当の土井翠さん(46)を中心に対応策を検討。障がいがある子どもや保護者をサポートする同市西区の市立西部療育センターで聴覚過敏について専門家のアドバイスを受け、同様の企画を年4回開催している北海道小樽市の「おたる水族館」も視察した。

当日は午後6時から館内のBGMなどを消し、6時半からイワシのショー、7時半からイルカのショーを開催。音楽やマイクの代わりに案内板や光を使って進行、演出する。鑑賞中にパニック症状が出た人などが休憩できるスペースも館内4カ所に設けた。土井さんは「安心できる環境で普段は聞き取りにくい自然の音や声にじっくり耳を傾け、生命力を感じてほしい」と話す。

入場料は通常通り。同館=092(603)0400。

(平原奈央子)

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