万博スタッフに「時給2000円」大盤振る舞いの裏で…“格差拡大”に涙を飲む大阪府非常勤職員

大阪府(上、=府庁舎)の非常勤職員時給は1158円、かたや万博スタッフ(下)は1850円などの異例の好待遇(C)日刊ゲンダイ

実質賃金25カ月連続マイナスという状況下で、万博だけは別世界のような気前の良さだ。

来年4月に開幕する2025年大阪・関西万博。会場準備での爆発事故や、シャトルバス運転手の確保にメドが立たないなど、問題山積なのだが、珍しく明るい話題として会場スタッフの時給が異例の好待遇だと注目を集めている。

万博の公式HPによれば、会場で来場者の案内を担う「EXPOサービスクルー」の時給は1850円。関西圏のアルバイト・パートの平均を6割近く上回る高時給だ。他にも、大阪市と大阪府が共同で出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」や、住友グループが出展する「住友館」のスタッフは時給2000円と、さらに150円プラスだ。

“お祭り”には惜しみなく金を出すようだが……非正規雇用ながら人々の生活を支える府の職員の待遇と比較すると、いささか首をかしげてしまう。

■事務補助は時給1158円

大阪府によると、府で働く非常勤職員の時給は、事務補助で1158円、保健師では1448円だという。事務補助は、勤務年数によって昇給するシステムだが、それでも時給の上限は8年以上の勤務が条件の1222円だ。万博スタッフの時給には遠く及ばない。

大阪府関係職員労働組合の小松康則執行委員長はこう言う。

「労働組合としては、万博スタッフの時給が高いということ自体は、喜ばしい話です。しかし、大阪府で働く事務補助、保健師や社会福祉職などの非常勤職員は、周辺自治体と比較しても時給が安い。不安定な雇用形態ということもあって、なかなか人が来てくれません。そもそも、保健師や社会福祉職は専門性が高く、府民の命や健康に関わる分野です。万博にそこまでお金をかけられるなら、こちらの時給も上げてほしい」

万博がうたう「いのち輝く未来社会」は看板倒れだ。

大阪市ふるさと納税の返礼品に「万博入場券」

大阪・関西万博は入場券もまったく売れていない。目標1400万枚に対して今月6日までの販売はたったの260万枚。それも企業への“押し売り”が大半で、一般の人はほとんど買っていない。

そこで焦った大阪市がふるさと納税の返礼品に万博チケットを送るというのだ。

「万博開催の言い出しっぺの維新の会はあまりの不人気に『万博は国家事業』と責任逃れしはじめた。しかし、万博の失敗は維新人気の低下に直結するので、維新系の大阪市長をけしかけたのです」(関西事情通)

総務省はふるさと納税過熱に「返礼品は地場産業に限る」とルール改正をしている。となると万博は地場産業なのか?

吉村大阪府知事は「子ども無料招待」を言い出したが、会場施設からメタンガス爆発が起きて親たちが猛反対中。万博開催の目的は、キャラクター「ミャクミャク」の目みたいに焦点が定まらなくなってきた。

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