RPGの名手Obsidianの最新作がいよいよ完成! 「Avowed」インタビュー

by 中村聖司

【Avowed】

2024年発売予定

価格:未定

ゲーム業界では、かつて数年リリースされないまま毎年E3に出展されるタイトルを、○○先輩と揶揄するカルチャーがある。E3を卒業できず、留年してしまっているというわけだ。そういう意味で、久々に先輩と呼びたいタイトルが「Avowed」である。発表は実に2020年で、丸4年が経とうとしている。

今回発表されたトレーラーでは、ついにリリース時期が発表され、Game Passに初日から対応することも明らかにされた。残念ながら会場でのプレイアブルデモは実施されなかったものの、開発陣に話を聞くことができたのでまとめておきたい。「Avowed」はXbox Series X|S、Xbox Game Pass、PC向けに2024年発売予定。

開発はMicrosoft Game Studios傘下のObsidian Entertainment。「Star Wars Knights of the Old Republic II」(2004)を皮切りに、「Neverwinter Nights 2」(2006)、「Fallout: New Vegas」(2010)、「Dungeon Siege III」(2011)と、他社の生み出したIPやシリーズの続編を手がけるというユニークなアプローチでゲーム業界の足場を固めていったメーカーだ。

取材に応じて頂いたObsidian EntertainmentのMatthew Hansen氏(右)とCarrie Patel氏(左)

そのObsidian独自のRPGが「Pillars of Eternity」だ。開発資金不足を埋めるためにキックスターターというユニークなアプローチを採用し、同名の小説を原作に、「バルダーズゲート」シリーズの精神的後継作として生み出された作品となる。「Avowed」は、「Pillars of Eternity」シリーズの3作目に相当する作品で、シリーズを継続しなかった理由については、直接の続編でないことや、「Pillars of Eternity」シリーズをプレイしていない人にも手に取って貰いたかったからだという。

ゲームとしては同社が得意としてきたファンタジーRPGで、クラシックなFPS視点を採用し、左手に魔法、右手に剣という、「The Elderscroll」シリーズで確立されたファンタジーRPGのスタイルを採る。

1人称視点のRPG
ピュアキャスターを目指すこともできる

同社は、Xbox Game Studios傘下となってから「Grounded」というオンラインマルチプレーヤーゲームを生み出しているが、本作はあくまでシングルプレイ経験にリソースを集中させている。オンラインマルチプレイや、協力プレイのような要素もないという。

2023年話題を集めた作品に「バルダーズゲート3」がある。初代「バルダーズゲート」を生み出したBlack Isle Studioは、Obsidianの源流とも言えるメーカーであり、旧友たちが作ったゲームといっても過言ではないが、多くの影響を受けつつも違ったゲームになっているという。

最大の違いはアクション性で、「バルダーズゲート3」は、あくまでターンベースのテーブルトークRPGであることを大事にした作品だが、「Avowed」はコンピューターRPGである点を前面に押し出しリアルタイムアクションをセールスポイントにしている。

ゲーム最大の魅力は、「Pillars of Eternity」と共通の世界観である「Eora」の世界そのものだという。主人公は皇帝から使命を与えられ、それを探究するにつれて、世界の美しさや危険さ、どういったものに価値があるかについて自身で判断していく必要があるという。

ゲームプレイとストーリーの両面に絶対的な自信を持っており、ゲームをクリアしたプレーヤーが、また最初からゲームを始めてくれることを期待しているという。それぐらい世界は奥行きがあり、リプレイバリューの高いコンテンツを備えているようだ。

ゲームの開発は佳境を迎えており、ようやく開発が終わる安堵感と、果たして世間がゲームを受け容れてくれるかどうか不安を抱いているという。

彼らは「バルダーズゲート3」を含めた多くのゲームのほか、「アポカリプス・ナウ」(2013)、「アナイアレーション」(2018)といった映画からも多くの影響を受けており、美しく、危険で、カラフルで、豊かで、奇妙な世界観を創り出したという。

その上で、プレーヤーはその世界で、自分のファンタジー世界を構築し、ファンタジー世界の中を生きて欲しいという。RPGにこだわりぬいてきたObsidianらしいメッセージと言える。

最後に日本のゲームファンに対して「私たちは、皆さんがEoraの世界で生きている土地を発見し、その中で自分の役割を見つけることを楽しみにしています。私たちは皆さんのためにエキサイティングな物語を準備しており、それを発見するのを見るのが待ちきれません。私自身もそう思いますし、世界中のファンにも当てはまると思いますが、日本も含めて、プレイヤーが自分の選択によって、プレイヤーキャラクターだけでなく、世界そのもののために、どのように世界を自分のものにしていくのかを見るのがとても楽しみです。彼らは、Eoraの世界の未来に波及的な結果をもたらす多くの決定を下すことができるでしょう。発売を楽しみにして頂ければと思います」とコメントしてくれた。

「Pillars of Eternity」シリーズは日本語化されなかったが、「Avowed」はMicrosoftタイトルだけに日本語化が予定されている。20年以上にわたってRPGばかりを生み出し続けてきたObsidianの最新作をぜひじっくり楽しみたいところだ。

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