小池都知事あす出馬表明も女帝3選に暗雲漂う…自民党都連「支援決定」も現場はヤル気なし

そうそう思惑通りにはいかない(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ

女帝の思惑通りにはいかなそうだ。

東京都の小池知事が12日の都議会本会議で、知事選(20日告示、7月7日投開票)への出馬を正式に表明することが分かった。一方、自民党東京都連は萩生田会長が10日、知事選の対応について「(小池を)支援する方向だ」と明言。小池知事は自民党の支援受け入れに依然、慎重だが、今後、両者は手を握って選挙戦に臨むことになる。

自民党は4月の衆院3補選で全敗して以降、地方選でも連敗続き。都知事選での敗北を避けるため、萩生田氏は小池知事への「しがみつき」を狙っている。小池側も、前回2020年知事選は300万票を超える圧勝だったが、この4年間で神通力は失せた。自民党の組織票がなければ、決して盤石とは言えない状況だ。小池側近は「何だかんだ国民の5人に1人が支持しているのが自民党。支援がもらえるならもらいたい」と本音を隠さない。

ところが、である。萩生田氏と小池知事の間で手を握ったとしても、自民党都連の現場レベルが小池支援に動くかは極めて怪しい。選挙戦で手足となる自民党の都議たちは、かつて小池知事に「ブラックボックス」「伏魔殿」などとこき下ろされ、大幅に議席を減らした経緯があるからだ。

10日の都連会合に出席した都議は、報道陣に「小池知事支援への異論はなかったか」と問われると「いや別に。結構、シラーッとした感じ」「蓮舫さんと小池さんの戦いでしょ。お二方とも我々とは距離があるから」と冷ややかだった。

23区内の自民党地方議員がこう言う。

「萩生田さんレベルで連携に合意したからといって、こちらから小池支援に動くつもりはない。これまで散々コケにされてきたんだから当然でしょ。蓮舫さんが出馬会見で『小池都政をリセットする』と発言していたが、いいこと言うなぁ、と思っているくらいだ」

知事支援に動くわけないでしょ

小池知事との連携は、都知事選と同日に都内8選挙区で投開票される都議補選を巡っても、問題がある。8選挙区のうち3選挙区で、小池知事が率いる都民ファーストの会と自民党の候補が競合しているのだ。別の地方議員が言う。

「補選でケンカして、知事選で握るなんて器用なことできませんから、小池さんの支援は無理。それに、もし3選挙区で小池知事が都ファの候補だけ応援することになれば、我々としては動く理由はない。勝手にやってくれという感じです」

さらに、自民党は今回、裏金事件の悪いイメージを薄めるため、選挙期間中に政治活動が認められる「確認団体」を設置して小池を支援する案を検討。これがマイナスに作用する可能性もある。

「自民党は政党色を消すことで、小池知事が連携しやすいように確認団体による支援を検討している。しかし、確認団体だと選挙戦で自民党の看板を掲げられないため、支援者の士気が上がりづらい。陣営が緩み、票を減らしかねないのです」(都政関係者)

都連の支援決定について問われた小池知事は10日「保守の方々から大きなエールをいただいている」と、自民党に秋波を送るかのような発言を展開していたが、焦りの裏返しか。暗雲が漂いつつある。

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