「私が母親でいいんだろうか」法廷で育児への悩みを語っていた母親に懲役23年の判決 名古屋地裁

「私が母親でいいんだろうか」幼い娘3人の首を絞めて殺害したとされ、法廷で育児への悩みを語っていた、29歳の母親。

名古屋地裁は争点となった責任能力について「心神喪失、心神耗弱のいずれにも当たらない」とした上で、懲役23年の判決を言い渡しました。 午後3時すぎ、傍聴人で満員となった法廷にグレーのTシャツにデニム姿で現れた遠矢姫華(とおや・ひめか)被告(29)。 起訴状などによりますと、遠矢被告は2022年2月、自宅で長女の姫茉梨(ひまり)ちゃん(当時5歳)、次女の菜乃華(なのか)ちゃん(当時3歳)、三女の咲桜(さくら)ちゃん(当時生後9カ月)の首をコードのようなもので絞め、殺害した罪に問われています。 裁判で明かされたのは、育児に思い悩んでいた遠矢被告の姿でした。 「子どもがかわいいと思えなくなっていたことをに関して悩んでいました」 2016年10月に長女を出産した後、「産後うつ」と診断され、4か月ほど治療を受けていたといいます。

義母が手伝いに行かなくては家事や育児が回っていない状態で、元夫(※事件後に離婚)は、「仕事から帰ってもご飯ができていない」「仕事から帰ってきてから買い物に行くことがある」などと義母に話していたといいます。 事件直前は、「洗濯物を戻す場所がわからない」「料理を作るときに初めて作るような感覚」に陥っていたという遠矢被告。 普段は避けていたファストフード店でパンケーキを買って食べさせた後、犯行に及んだとされ、法廷では「喜んでいる顔を見て『よかった』という気持ちでした」と語りました。 娘3人を殺害し自殺を図った遠矢被告は、「当時、何に一番追い詰められていましたか」と裁判員に問われ、「私が母親でいいんだろうか、このままでいいんだろうか」と答えました。

裁判で遠矢被告は起訴内容を認め、弁護側は「当時は心神喪失で、責任能力も殺意もなかった」などとして無罪を主張。 検察側は、「当時、責任能力に影響する精神疾患はなく、殺意もあった」「子どもたちの意思を考えることなく、子どもたちとの無理心中を一方的に決意して犯行に及んだ意思決定には強い非難が妥当」などとして、懲役25年を求刑していました。 11日の判決公判。 名古屋地裁は「相当に追い詰めて、抑うつ状態になっていた」とした一方、「心神喪失、心神耗弱のいずれにも当たらず、身勝手な犯行で強い非難は免れない」として遠矢被告の責任能力を認定し、懲役23年の判決を言い渡しました。 遠矢被告は量刑理由の説明を受けたあと、裁判長に「わかりましたか」と問いかけられ、小さな声で「はい」と答えて、法廷を後にしました。

© メ~テレ(名古屋テレビ)