バド日本代表監督が憤り パリ五輪直前合宿が中止「本当にショック」「残念」協会不祥事余波で予算不足「パリ五輪は厳しい」

 朴柱奉監督

 バドミントン日本代表の朴柱奉監督が11日、都内で取材に応じ、7月26日開幕のパリ五輪に向けた展望を語った。女子シングルスのエース山口茜(再春館製薬所)や、混合ダブルスの渡辺勇大、東野有紗組(BIPROGY)らにメダルが期待されるものの、「全種目(メダルを狙える)ボーダーラインで、チャンスはギリギリ。厳しいのは厳しい」と吐露。3年前の東京五輪では全種目金メダル候補を抱えながら、混合ダブルスの銅メダル1個に終わった経験もあるだけに「東京五輪はチャンスがある大会だったが、残念な結果だった。パリ五輪はリベンジしたい気持ちでやっているが、(展望としては)厳しい」と本音を隠さなかった。

 また、五輪前に味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で今月から計2回予定していた代表合宿が、予算不足により今月分の1回がキャンセルになっていたことも明かした。朴監督は昨年末までにパリ五輪本番までの強化スケジュールを作成していたというものの、今年3月の全英オープンの後、日本協会とのオンライン会議で予算不足による合宿の中止を言い渡されたという。「本当にショック。(会議で)現場の意見を伝えたが(かなわず)、残念だった」と憤りを隠さなかった。

 日本協会は、前体制だった2022年に発覚した横領などの不祥事の影響で、JOCやスポーツ庁から交付される強化費を削られるなど厳しい財政状況が続いており、24年度の日本代表の強化費は約5億円減の約3億円まで削減する予算となっていた。

 村井満会長は今夏のパリ五輪以降に大ナタを振るうことを予告していたものの、五輪出場権に大きく影響する4月のアジア選手権前の強化合宿や、シード権が懸かる5月の海外遠征前の合宿も中止になるなど、強化現場は既に厳しい状況となっているという。

 朴監督は「今年の五輪のためにプログラムを作ったが、協会の予算の問題があって、予定通りのプログラムができず残念だった」と不満を吐露。五輪に向けて今月28日から予定していた直前合宿が中止となり、7月11日から20日までの代表合宿(味の素ナショナルトレーニングセンター)が唯一の五輪前合宿となる。

 代表合宿を行えない間は、各種目の担当コーチが各所属の練習に足を運び、状態などをチェックするが、指揮官は「(代表合宿なら)食べ物、トレーナー、情報、クリニック、スタッフ(もそろっていて)、練習のカリキュラムも違った。それプラス、(ナショナルトレーニングセンターは)他の競技も合宿をやっていて、全体的に五輪へ準備する雰囲気になっている。もっと五輪に集中できたが、残念だった」と眉間にしわを寄せた。

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