同性カップル住民票に事実婚表記、東京都世田谷区が「制度設計を検討」へ。保坂展人区長は「当事者の実情により近いものに」

世田谷区議会議場

長崎県大村市が5月、男性の同性カップルの続き柄欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付したことを受け、東京都世田谷区は6月11日、同性カップルにも異性の事実婚と同様の記載を用いる方針を示した。

区議会定例会の本会議で、上川あや議員が区としての対応について質問し、保坂展人区長が「具体的な制度設計を早急に検討するよう、所管に指示しました」と答弁した。

同様の運用は、鳥取県倉吉市が2023年10月に開始する。栃木県鹿沼市京都府与謝野町も今後、同様の対応をする方針。東京23区では、杉並区が「前向きに検討する」と表明している。

「同性カップルにも男女の事実婚と同様に、社会保障などの法的保護が認められる余地が高まった」と見る専門家もいる。

ハフポスト日本版は同日、今後の国としての対応について、住民票業務を所管する総務省に取材した。同省の住民制度課によると、現在は大村市から聞き取りしている段階だといい、「大村市が今回の対応をした状況や理由について確認した上で、どうするか検討していく」とした。

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◆世田谷区は「当事者の実情により近いものに」

同性カップルの住民票の続き柄は、総務省の住民基本台帳の事務処理要領に則って、「同居人」としている自治体が多いのが実情だ。世田谷区ではパートナーシップ宣誓制度で宣誓した人から申し出があれば、親族を表す「縁故者」としている。

保坂区長はこの日、「事実婚表記につきましては、(同性カップルの)当事者から多くの期待と要望が寄せられています。 パートナーシップ宣誓制度を手がけた区として、当事者の実情により近いものになると考え、区としても取り入れていきたいと思います」と答弁した。

東京新聞によると、超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は10日、男女の事実婚に関する規定を同性パートナーに適用するよう、政府に申し入れる方針を固めた。

<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版>

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