獅子舞を奉納しながら西日本各地を巡る「伊勢大神楽(だいかぐら)」(国重要無形民俗文化財)が今月、備前市を訪れている。住民は伝統の風習に触れ、無病息災や地域繁栄を祈っている。
伊勢大神楽講社(三重県)の森本忠太夫社中は1日に備前入りし民家や事業所を訪問。氏子ら約100人が集まった住吉神社(同市穂浪)では8日、太夫8人が獅子舞の演舞、曲芸を披露する大廻(おおまわ)しを1時間半行った。
太夫は茶わんを高く投げて受け止めたり、刀を額にのせて笛を吹いたりする曲芸で湧かせた。話芸も売りの一つで、刀のさやをのぞき遠くが見えると冗談を飛ばして笑わせた。
笛、太鼓が軽快に響く中、2頭の獅子が厳かに演舞。別の獅子が太夫の肩に乗り、傘を手に華やかな花魁(おいらん)になると、大きな拍手が送られた。社中を招いた宮総代長の美木暉(てる)さん(81)は「1年に1度、積み重ねる地域の歴史と文化。高齢化は進むが、次代につなげたい」と語った。
社中は下旬まで市内を回った後、瀬戸内市や玉野市、岡山、香川の島々などにも赴く。