JR苫小牧駅前の廃商業ビル、苫小牧市と地権者が再開発で合意 民間事業者選定へ

北海道苫小牧市は、JR苫小牧駅南口で、閉館後約10年間放置されてきた旧「苫小牧駅前プラザegao(エガオ)」(苫小牧市表町)跡地の再開発で、地権者と合意した。今後、市が再開発に当たる民間事業者を選定し、2026年度にも解体工事に入りたい考えだ。

市が再開発を計画するエガオ跡地約6,400平方メートルと駅前広場、旧バスターミナルなどその周辺には、エガオ跡地の地権者28人から寄付を受けるなどした市有地のほか、大東開発の所有地、エイチ・アール・ネットの二層式駐車場、JR北海道の旧エスタビルがある。エイチ・アール・ネットとは5月、大東開発とは6月、再開発に向けて合意した。

大東開発、エイチ・アール・ネットが再開発区域内に持つ土地と同程度の市有地を交換する形を取る。JR北海道とは市が移転補償費算出の調査業務を始めており、その結果を踏まえて合意形成を図ることにしている。

エガオは地下1階、地上8階建て延べ約3万9,000平方メートル。1977年、スーパーのダイエーを核に約60店が入居した「サンプラザビル」として開業した。しかし、中心市街地の空洞化が進む中、郊外型大型店との競争に敗れて2005年にダイエーが撤退した。

このため、アークスグループのスーパー「ラルズマート」、衣料品や貴金属の専門店などを新たに誘致して翌2006年、エガオとしてリニューアルオープンした。だが客足の伸び悩みが続いてテナントが次々に撤退、2014年に閉鎖された。

市は地権者から土地の無償譲渡を受けて再開発を進める計画だったが、エガオ閉鎖の直前にエガオの一部土地を取得した大東開発が寄付に応じず、市に賃料相当額などの支払いを求める裁判に発展、市が敗訴した。

これを受け、市は再開発の構想を練り、エガオ跡地などにタクシーや一般車両の乗り降りをする広場と公園、駅舎一体の複合ビルを整備する方向を打ち出すとともに、大東開発などと交渉を進めていた。

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