【高校野球】創部116年・春夏21回出場「小倉高校」vs創部124年・春夏9回出場「東筑高校」 伝統校の誇りかけ激突

創部116年、春のセンバツに11回、夏の選手権に10回出場し2度の全国制覇も果たした小倉高校野球部と創部124年、春夏あわせて9回の甲子園出場を誇る東筑高校野球部の定期戦が実施されました。

選手だけではなく在校生、卒業生も駆けつける伝統校同士の戦いは、”北九州の早慶戦”とも呼ばれています。

対戦成績は五分、勝ち越しをかけた一戦

6月5日、北九州市八幡西区の桃園球場に小倉高校野球部と東筑高校野球部の選手が顔を揃えました。開催されるのは、今年で32回目を迎える「小倉・東筑定期野球大会」です。

この定期戦は、毎年この時期に開催されていて地元では「北九州の早慶戦」と言われています。夏の甲子園の予選を控え選手たちのコンディションはピークに近い状態です。

小倉高校野球部・高田煌太主将「2年連続負けてしまっているんで、しっかり勝ち越せるように戦っていきたい」

東筑高校野球部・関屋竣貴主将「学校として小倉高校に勝つ、絶対勝ちたいです」

定期戦の対戦成績は、15勝15敗1分。勝ち越しをかけた一戦を控え、試合前からグラウンド全体に緊張感が漂っています。

もうひとつの戦い、両校の応援合戦

応援席で気合をみなぎらせているのは、東筑高校応援団の梅原虎大団長です。

東筑高校応援団・梅原虎大さん「頭をしっかり剃って参加しようと」「どれだけお客さんを盛り上げて、選手がどれだけ活躍できるようにこっちが頑張れるかというのが大切」

この定期戦でのもうひとつの戦いは、両校の応援合戦です。

小倉高校の応援団員「今日の日のために準備してきました、3年間の集大成で」

「小倉」「東筑」両校長も火花

小倉高校、東筑高校の全校生徒も揃い、開会式が開かれました。両校の校長も火花を散らします。

小倉高校・石川一仁校長「全校応援です」「昨年の雪辱を果たしたい」

東筑高校・小川昇二郎校長「特別活動の一環として非常に大きな教育活動です」「勝敗が並んでいるので、今回勝ち越したい」

エールの交換を終えプレイボール

東筑高校側スタンド「フレフレ小倉フレフレ小倉」

小倉高校側スタンド「フレフレ東筑フレフレ東筑」

両校のエールの交換を終えいよいよ試合が始まります。

小倉高校の先発は背番号1宮本投手。東筑先頭打者を打ち取って1アウト。その後も後続を抑え、3者凡退の上々の立ち上がり。

一方、東筑の先発塚田投手も立ち上がりから安定感を見せ、両チーム一歩も譲らない展開。スコアボードには0が並びます。

伝統校同士の戦い始まりは33年前

創部116年、春のセンバツに11回、夏の選手権に10回出場し2度の全国制覇も果たした小倉高校野球部と創部124年、春夏あわせて9回の甲子園出場を誇る東筑高校野球部。

伝統校同士の定期戦が始まったのは、1991年です。開催に向け奔走したのは、当時、野球部の部長だった2人です。

元小倉高校野球部部長・牧村浩二さん「北九州市活性化協議会というのがあって、宮城県には仙台一高と二高の野球の定期戦があって、市の活性化に寄与している。北九州にはそういったものが無いのかという話から始まったようです」

元東筑高校野球部部長・舩津革さん「ここ(北九州市)には小倉と東筑があるのに何でしないのかと」

伝統校同士の定期戦。2人が、最も苦労したのは、ある「物」の色の選定でした。

元東筑高校野球部部長・舩津革さん「優勝旗の色です」「こっち(東筑)がえんじで・・小倉高校が紫紺。両校のスクールカラーを混ぜ合わせると汚い色になると」

元小倉高校野球部部長・牧村浩二さん「最終的には中間色に近い江戸紫」

出来上がったのは、「江戸紫」色の優勝旗。この優勝旗を手にするために伝統校の誇りをかけた戦いが繰り広げられてきました。

元東筑高校野球部部長・舩津革さん「両校切磋琢磨する場として、継続できれば継続してほしい」

試合は終盤に…東筑が逆転

32回目の定期戦は、8回、東筑が同点に追いつき、さらにランナーを3塁において犠牲フライで逆転。

次のバッターのランニングホームランで3点目を奪った東筑が2点をリードして最終回を迎えます。

最後の攻撃となった小倉高校。2人のランナーが出塁するも得点には至らず、東筑高校が小倉高校に3対1で勝利しました。

勝敗を越え、口にする「感謝」の言葉

エールの交換を終えた両校の応援団長が共に口にしたのは、「感謝」の言葉です。

東筑高校応援団・梅原虎大団長「こっちが応援して勝たせてやったぞというよりは応援させてくれてありがとうというのが強い」「本家の早慶戦より盛り上がっている自信あります」

小倉高校応援団・古里奏大団長「予想以上にみんなの声が出て、自分もやった甲斐があったなと思う。吹奏楽部や野球の保護者のおかげで今日の(応援が)実現できたと思う。本当にありがたいと思います。」

小倉高校野球部・高田煌太主将「応援してもらってありがたかったですし、自分たちもプレーしていて気持ちよかったです」

東筑高校野球部・関屋竣貴主将「やっている選手は楽しいしい、学校全体で1つになれるいい機会なので(定期戦は)続けたほうがいい」

「小倉・東筑定期野球大会」。

野球部だけではなく、全校生徒同士が切磋琢磨できる場として、これからも続いていきます。

© RKB毎日放送株式会社