「メタファー:リファンタジオ」試遊レポート。アトラスの集大成として熱量を体感する注目の完全新作

by そりす

【メタファー:リファンタジオ】

10月11日 発売予定

価格:9,878円~

アトラスは、東京都千代田区のベルサール秋葉原にて、単独の大型リアルイベント「アトラスフェス」を6月8日より6月9日まで開催した。

本イベントでは、アトラス自社ブランドのリリースから35周年を記念した展示物が会場に並ぶほか、グッズ販売といった物販、そして10月11日発売予定のプレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/PC(Windows/Steam)用RPG「メタファー:リファンタジオ」の試遊エリアも設けられていた。

本稿では会場に設置されたそんな注目作をプレイしてきたので、その所感をファーストインプレッションとしてお届けしていきたい。

リスクとリターンが絡む「ファスト&スクワッド」なバトルが生み出す心地よいテンポ感

会場内の試遊版では、3種のゲームモードから「メタファー:リファンタジオ」を体験できた。メインストーリーの冒頭部分と、基本操作を実際に触れながら体験していく「アーキタイプの覚醒」、物語序盤のダンジョンを攻略する「占拠された大聖堂」、ボスバトルが楽しめる「大海獣・強襲」の3つだ。それらは難易度順に並び、もっとも難易度が高いのはボスバトルとなっている。

筆者が今回選択したのは、ダンジョンを攻略していく「占拠された大聖堂」だ。開発陣が自らゲームの最新情報を紹介するアトラス公式番組「ATLUS Exclusive」では、幾度かにわたって触れられてきた「ファスト&スクワッド」と呼ばれるバトルシステムを実際に体験してみたくなった。「ファスト&スクワッド」は、ダンジョンを移動中に敵へ直接攻撃を行なえるアクション「ファスト」と、一般的なRPGのようにコマンドバトルで戦う「スクワッド」を切り替えることができるというバトルシステムになっている。本音を言うとそのバトルシステムが、“アクションなのかターン制コマンドバトルなのか”ピンと来ていなかった……というのが正直な話である。

早速ゲームを始めると、これから主人公たちがダンジョンに突入する直前の部分からスタートした。パーティメンバーは主人公のほかに、側頭部からツノを生やしたクレマール族の青年・ストロール、長い耳が特徴的な騎士の女性・ヒュルケンベルグの3名だ。なお、先日公開された動画「ATLUS Exclusive『メタファー:リファンタジオ』アーキタイプ(ジョブシステム)編」によれば、パーティは最大4名編成となり、物語の進行に応じて7名までメンバーが増えるとのこと。

ダンジョンに入ってから早々、フィールド内を闊歩している敵を発見する。近年多くのRPGで用いられているシンボルエンカウント方式を採用しているので、戦うのも避けるのもプレーヤーの自由だ。しかし、本作ではそこに“アクション要素”が加わってくる。

フィールド内の敵に近づき、攻撃を仕掛けてから戦闘に突入すると、有利な状況でバトルを開始させられるというシンボルエンカウントの大筋からは変わらない。だが、「メタファー:リファンタジオ」においては、フィールド内で攻撃した敵の強さに応じて、駆け引きがワンクッション挟まる。具体的には、自分と敵の“どちらがコマンドバトル開始時の有利を取れるか”といった、フィールド上における敵との簡易的なアクションバトルを指す。

プレーヤーより格下の敵なら、「ファスト」で敵のブレイクゲージを削り切ることで、コマンドバトルに突入せず倒し切れてしまうが、ある程度の強さを持った敵はコマンドバトルにて倒す必要がある。その際、お互い戦闘を有利にスタートさせるため、プレーヤーは敵のゲージを削り切る目的で攻撃をし続け、逆に敵側はこちらに攻撃を当てることで有利を取ろうとしているわけだ。これが「ファスト&スクワッド」と呼ばれたバトルの基本となっている。

アクションゲームのように攻撃を仕掛けられる「ファスト」
格下の敵ならファストだけで倒してしまうことも可能だ

フィールド上の敵から攻撃を受けてしまうと、敵に有利な状態でコマンドバトルがスタートしてしまう。そうならないためにも、敵シンボルの動きを回避しながらゲージを削り切り、ダウンしたのを見計らってコマンドバトルに突入する工程が挟まれる。これがダンジョン攻略のほど良いメリハリ感と、ゲームテンポの向上に貢献している。従来型RPGの「探索&戦闘」のサイクルに新しい概念が1つ足され、「探索&駆け引き&戦闘」といった感触であった。

ただ、中にはアクションが苦手なプレーヤーたちも多くいることだろう。もちろん本作ではこうしたアクション性ある駆け引きをあえて無視して、そのままコマンドバトルに突入することもできる。敵に接近して「SQUAD」の表示が出たら、そのまま対応するボタンを押せば何事もなくコマンドバトルが開始される。敵から奇襲されるリスクも考慮してそれでもリターンを取りにいくか、あるいは安全第一にコマンドバトルを中心とした探索で臨むのか、プレーヤーの選択肢に幅が広がる探索の手応えを感じられた。

過去作のノウハウが詰まった集大成に相応しいバトル体験

コマンドバトルでは近年の「ペルソナ」シリーズに通じる直感的なユーザーインターフェースが採用されている。ただし、バトルシステムは「真・女神転生III NOCTURNE」から取り入れられているターン制バトルをベースとしているそうで、パーティメンバーの数に応じて1ターンにおける行動回数が定められているが、敵に対して弱点属性の攻撃を行なえば、行動回数が増える仕組みとなっている。

戦闘では主に武器を使った攻撃、スキル、必殺技に相当するジンテーゼ、アイテム使用、防御と、5つの行動が選択できた。さらにターン中に前後への「隊列移動」が行なえる。前列では近接攻撃で与えるダメージが上がる代わりに被ダメージも大きくなり、後列では被ダメージが下がるが、近接攻撃で与えるダメージが下がってしまう。キャラクターのジョブとなる「アーキタイプ」の役割と戦況に応じて、前列・後列に移動させていくことも戦略に絡むポイントとなるだろう。

中でも気になったのが上述した「ジンテーゼ」だ。これはパーティ内にいるアーキタイプの組み合わせによって強力な技が発動できる。映像演出まで付き、戦局を打開するほど大きなポテンシャルを秘めたコマンドとなっている。その分、パーティの行動回数を消費するので、ボス戦では使い所がカギになりそうだ。なお、アーキタイプは主人公だけではなく、仲間のものも変更できるという。

アトラスの得意とするUI
基本特性14系統に、それらのバリエーションを含めると40種以上が登場するアーキタイプ。それぞれ違った戦い方を楽しめる

試遊時間の制約上、全てのモードを紹介し切れないのが悔やまれる。しかし、たった数十分の試遊だけでも「メタファー:リファンタジオ」には、アトラスがこれまで手がけてきている過去作からのノウハウが、存分に凝縮されているのだと感覚的に理解できる熱量があった。過去作を多数プレイしている造詣の深いユーザーほど、「メタファー:リファンタジオ」が持つ奥深さの虜になる気がしてならない。

また、シンボルエンカウントに新しい流れを見い出そうとしているファスト&スクワッドなバトルに関して言えば、主人公のアーキタイプが変わることでフィールド内の攻撃アクションも変化するそうだ。コマンドバトルの戦略と合わせて、ダンジョン探索の立ち回り方も考慮していく、今までにないような体験がRPGの可能性をきっと広げてくれるはず。

そんなアトラスの完全新作RPG「メタファー:リファンタジオ」は、今年10月11日に発売予定だ。発売にかけて続々と公開される新情報の数々に期待が高まる。

(C)ATLUS. (C)SEGA

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