見逃した人向けのApple『WWDC』発表内容まとめ AI機能搭載など盛りだくさんの内容に

Apple(アップル)は6月11日、オンラインイベント『WWDC 2024』を開催した。同イベントではiPhoneからMacまで、各種デバイスの次期OSが発表された。

くわえて、『Apple Vision Pro』の日本発売やAI(人工知能)機能の「Apple Intelligence」など、新ハードウェアこそ登場しなかったものの盛りだくさんの内容となった。

本稿では、基調講演のなかで特に目立った機能を中心におさらいしていこう。

■あらゆる情報を管理し、画像の生成も可能になったAI

iPhoneとiPad、Macに導入される「Apple Intelligence」は、Appleいわく「パーソナルインテリジェンスシステム」として位置づけられている。たとえばメールやメモ、Pages、他社製アプリで、文章の書き直しや構成、要約が利用できる。

メールでは、受信ボックスの先頭に緊急性の高いEメールが表示され、メッセージを開かなくても要約を確認できる。通知では最も重要なものが一番上に表示され、新しい集中モードが導入される。メモアプリと電話アプリでは、音声の録音や書き起こし、要約ができるように。録音されていることは通話する両者に通知され、通話が終了すると、重要なポイントの要約が生成される。

「Apple Intelligence」では、AIによる画像生成も可能だ。「Image Playground」ではアニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルの画像が簡単に生成でき、オリジナルな絵文字を生成する「Genmoji」機能も登場する。写真アプリでは、不要な被写体を消すことも可能になった。

音声アシスタントの「Siri」は質問への回答が強化され、インターフェースも刷新された。さらに、OpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」へ直接質問したり、画像生成機能を利用することができる。ChatGPTの利用にアカウントは必要ないが、有料プランの登録者は有料機能に直接アクセスできる。

■カスタマイズ性が向上したiOS 18とiPadOS 18

iPhone向けの次期OSこと「iOS 18」では、ホーム画面やロック画面、コントロールセンターのカスタマイズ性が大幅に向上した。ホーム画面では好きな場所にアプリやウィジェットが配置でき、またアイコンの色合いもダーク系や壁紙の色合いに変更することができる。

コントロールセンターは、スワイプでグループを切り替えたり、他社製アプリを追加したりすることもできる。iOS 18では衛星通信経由のメッセージの送受信が可能で、iMessageやSMSでテキストや絵文字、Tapback(リアクション)を送信できる。また、アプリに個別でパスワードを設定できる機能も導入された。

iPadOS 18では、待望の計算機アプリが導入される。このアプリは電卓としてだけでなく、ユーザーが数式をタイプ入力、または手書きで記述すると、その答えがすぐに表示される「計算メモ」機能が搭載されており、ここでもAI機能が活用されているようだ。

くわえて「Apple Pencil」による手書きを美しく整えてくれる補正機能「スマートスクリプト」も登場。また前述のiOS 18で紹介したホーム画面やロック画面、コントロールセンターのカスタム機能は、iPadOS 18でも利用できる。

■MacからiPhoneの操作が可能に

Mac向けの次期OSこと「macOS Sequoia」では、iPhoneをワイヤレスでミラーリングすることで、Macの画面からiPhoneの操作が可能に。また、ウィンドウを四隅に寄せるとタイル表示で自動的に整列してくれる機能も追加された。

Apple Watch向けの「watchOS 11」では、新たなバイタルアプリにより、健康に関する主要な指標と状況にアクセスしやすくなった。また翻訳アプリがApple Watchに登場し、20の言語を翻訳することができる。

『Apple Vision Pro』向けの「visionOS 2」では、「Mac仮想ディスプレイ」の解像度やサイズ、仮想モニター機能が強化された。さらに、6月28日からは日本でもApple Vision Proが発売される。価格は59万9,800円からで、14日午前10時より予約販売を開始する。

Apple TV向けの「tvOS 18」では、「Apple TV+」の情報をリアルタイムで表示する「InSight」が登場。さらに人物の対話の音量が強調され、最適なタイミングで字幕が自動表示される。

AirPodsはソフトウェアアップデートにより、Siriを利用し首を縦にふることで「はい」、横に振ることで「いいえ」の返答が可能になった。また、「声を分離」により通話時のノイズが低減され、通信レイテンシの低減や空間オーディオの強化もおこなわれている。

iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaは今年の秋に提供され、Apple Intelligenceはベータ版としてまず英語(米国)にて利用可能になる。追加言語は来年中に公開される予定だ。利用には『iPhone 15 Pro』『iPhone 15 Pro Max』、M1以降を搭載したiPad/Macが必要などハードルは高いが、Appleが初めて提供する本格的なAI機能だけに、期待が集まる。今後我々の生活がどのように変化するか、注視していきたい。

〈Source: Apple〉

(文=塚本直樹)

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