試合の流れ変えたソフトバンク栗原陵矢の積極打法 大事な局面でファーストストライクを打ちにいける度胸に感服

7回無死一塁、右前打を放つ栗原(撮影・西田忠信)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク4―2ヤクルト(11日、みずほペイペイドーム)

見事な集中打だった。2点を追う7回。2番今宮からの4連打で同点とすると、柳町の犠打後、7番中村晃の2点適時打で一気に勝ち越し。こうなれば8、9回は松本裕、オスナの盤石リレーできっちり逃げ切った。

それにしてもだ。やはり一気に逆転した7回は勝利への執念が結集された攻撃ではなかったか。この回先頭の今宮は2ストライクに追い込まれながらも4球目のフォークボールに必死に食らいつき、中前に落とす安打での好機演出だったし、何より大きかったのは次打者栗原の一打に思えた。

1ボールからの2球目だった。真ん中高めの直球を振り抜き、一、二塁間を破る右前打で好機を拡大させた。打線は直前の6回まで3イニング連続で併殺を喫する拙攻続き。相手先発吉村の攻略に打線全体で苦しんでいたというのに、この大事な局面でファーストストライクを打ちにいける度胸には恐れ入った。

「あの場面は怖さなんかなかったですね。ゲッツーになったらどうしようなんて考えはなく、良い球が来たら打ってやろうと燃えていました」

この栗原の積極打法で試合の流れが一気に変わった。続く4番山川の中前適時打、5番近藤の右前同点打はいずれも初球を捉えてのもの。まるで栗原の攻めの姿勢が乗り移ったかのような連続攻撃で、中村晃の決勝打につながっていった。

(石田泰隆)

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